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永遠の謎
396部分:第二十五話 花咲く命その十二

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第二十五話 花咲く命その十二

 そのうえでだ。こう言うのだった。
「私のしたことはそれだけのことですから」
「おわかりでしたら」
「そうです。やはりです」
「わかってはいます」 
 王は周囲の言葉に返した。
「ですが」
「ですが?」
「ですがといいますと」 
「私はそれでもです」
 王は深刻な顔になり。そのうえで述べるのだった。
「あの時は。そして」
「そして」
「そしてといいますと」
「今も。そうすべきであるというのに」
 結婚すべきだと。それはわかっているというのだ。
 しかしそれでもだった。王は。
「それをしてはならないように思えるのです」
「すべきなのにしてはならない」
「何故そう思われるのですか」
「同性と結ばれる様な」
 王の顔にだ。嫌悪も加わった。微妙であるがそれはだ。確かに嫌悪の色だった。
 その顔でだ。王は言うのである。
「そうしたものを感じ」
「同性?」
「同性といいますと」
「女性が女性とですか」
「この場合はそうなりますか」
「何故でしょうか」
 王でもわからない。そうした言葉だった。
「それはどうしてもです。しかし」
「気が進まれない」
「そうなのですか」
「今になって。自分でも不思議です」
 戸惑いもだ。それも見せるのだった。
「結婚しなければならないですしゾフィーのことは」
「御嫌いではありませんね」
「そうですね」
「嫌いな筈がありません」
 そうだというのだった。
「だからこそ余計にです」
 戸惑っているというのだ。それを今話すのだった。
 そしてだ。王は言うのだった。
「これから少し書きます」
「御手紙をですね」
「そうされますね」
「はい、大公と」
 そしてであった。他には。
「ゾフィー。そして」
「そして?」
「他の方にも書かれるのですか」
「ワーグナーにも」
 この場でもだ。彼だった。彼の名を出すのだった。
「手紙を書きましょう」
「あの、御二人はわかるのですが」
「ワーグナー氏にもですか」
「そうされるのですか」
「はい、そうします」
 まさにそうだとだ。王は話すのである。
「彼にもです」
「あの。御二人はわかるのですが」
「そこで何故ワーグナー氏にもですか?」
「御手紙を書かれるのでしょうか」
「それは」
 それがどうしてもわからないというのだ。これが周りの考えだった。
 そしてだった。さらにだ。彼等は王にさらに問うた。
「あの、それで」
「そのワーグナー氏のこともですね」
「ビューロー夫人とのお話も」
「そのことについても」
「彼等は潔白なのです」
 信じたい、そうした言葉だった。

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