番外編その2 鉄砲水とGX
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夜は続く。それはつまり、まだまだ宴が続くということでもある。
「こんなに成長したあなたたちに出会うことができて、私は今自分の教師生活の中でも一番に感動しているノーネエエェェェ!」
「お、俺も先輩方にまた出会えて、心の底から嬉しいザウルスウゥゥ!」
「ほらほら、2人ともわかったから!レイちゃん、悪いけれど手伝ってくれるかしら」
「任せて明日香さん!ほら2人とも、ボクが今お水持ってくるから、ちょっと落ち着いてね!」
だいぶ酔いも回ってきたのだろうか。いきなり会場のど真ん中で感極まって大声コンテストでもやってんのかと言いたくなるようなレベルで泣き崩れるクロノス先生とそれを見て一緒にもらい泣きする剣山、そして見ていられないとばかりにその世話を焼く明日香とレイちゃん。先生はともかく本来ならあの2人に関しては僕らの後輩なんだからこの同窓会に来ていることはおかしいのだが、あんまり一緒につるんでたことが多かったので呼ぶリストの中にこっそり放り込んでおいたのだ。ちなみに、同じ理由でカイザーもこの会場にいる。もっとも彼の場合、翔が半ば強引に連れてきたという側面の方が大きい気もするが。
レイちゃんが持ってきた水をまだ涙目のまま素直にごくごくと飲む2人を見ていると、ふらりと近づいてきた彼女が話しかけてきた。
「なーに壁の花してるんですか。主催なんだから余興のひとつでもやってみてくださいよ」
そちらを振り返ると、久しぶりに見る後輩の姿。さすがにあの時から5年も経てば元から高かった背もさらに伸び、顔立ちも大人びてだいぶ全体の雰囲気も変わっている。
だけど、一目見ればわかる。彼女の本質は、僕と一緒に毎日厨房に立っていたころから変わっていない。だから僕も微笑んで、あの時と同じように言葉を返す。その隣の人は……うん。ダークシグナーになって以降成長や老化といった単語から一切無縁になって不老の体を手に入れた僕が言うのもなんだけど、ほんとこの人は何回会っても初対面の時から見た目変わんないな。
「おひさ、葵ちゃん……と、やっぱ来たんですね明菜さん。1か月ぶりですね」
「うん、ひっさしぶり清明ちゃん!なんてったってこの成人式すら出席しなかった葵ちゃんが昭ちゃんからのお誘いは断らないで同窓会に行くっていうんだからね、これはもうお姉ちゃんとして可愛い可愛い妹の晴れ姿をじっくり押さえておかなくちゃ!」
「なんで余計なことばかり言うんですか姉上は!すみません、どうしても途中で撒けなくて……いやちょっと待ってください先輩。1か月ぶり?姉上が?」
謝罪の途中でふと、僕の発言をいぶかしむ葵ちゃん。明菜さん、なんとなくそんな気はしてたけどやっぱ黙ってたのか。別に言ったところで減るものでもないし、別にどうだっていいだろうに。
「葵ちゃん知らなかったの?
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