暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜紫紺の剣士〜
アインクラッド編
18.花咲く庭で
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
離脱するんだ」
「あなたもよ、リヒティ」
そっと手を触れ合わせる。直後、オレンジプレイヤーが一斉に襲い掛かってきた。
「うおおおおっ!」
「せああっ!」
メイススキル《シャイニング・フォール》と槍スキル《スプレッディング・サン》。どちらも範囲攻撃で、相手を吹き飛ばすことを狙った攻撃だった。予想通り、オレンジプレイヤーは吹き飛ばされていく。その隙を狙って、2人は転移結晶を取り出した。
「転移!キルベル」
カアンッ!と高い音が響く。最後まで《キルベルグ》ということはできなかった。オレンジプレイヤーの投げたピックが突き刺さっていた。
「読めてんだよ、それくらい」
オレンジプレイヤーはニタリと嘲笑う。
手慣れている。
「ちっ・・・」
舌打ちを漏らして、リヒティはクリスティナを一瞬だけ見た。かすかに顔が青ざめていた。
(頼む・・・誰か気付いてくれ・・・!)


***


「けっこうたくさんドロップしたっスね。今日は鹿肉のローストにするっス!」
「へえ、おいしそう」
そんな会話をしていた時のころだった。
リヒティのHPバーにアイコンが点灯したので、俺はわずかに疑問を持った。
「タクミ、巨大花の森に麻痺攻撃をしてくる奴はいたか?」
俺と同じ疑問をタクミも抱いたのだろう。眉を寄せながら首を横に振る。
「記憶にない」
とても嫌な予感がした。
「タクミとナツは、ミーシャたちと合流してくれ。俺は巨大花の森に行く。なるべく早く来てほしい」
「へ?」
返事を待たずに俺は駆けだした。石畳を蹴り飛ばし、転移門に飛び込んだ。
「転移!」
一瞬の浮遊感。転移が済むとすぐに走り出す。嫌な予感は、的中した。してしまった。
2人のHPが、みるみるうちに減少していく。リヒティはすでに5割を切っている。
「間に合え・・・!」
思わずそう声に出しながら、俺は必死で走った。



槍という長物を持つクリスティナは、懐に入られると弱いという弱点を持っていた。だから、リヒティはクリスティナを守りながら戦っていた。そうでなくとも、2人に本物の対人戦の経験は少ない。圧倒的に不利な状況だった。
「おらあああっ!!」
リヒティがメイスを振り回す。2人のプレイヤーが巻き込まれて吹き飛ばされたが、躱したリーダーが手に握ったカタナでメイスを上に弾いた。
「ぐあっ」
「ヒャハッ!」
嫌な笑い声をあげて、カタナで追撃を浴びせる。ザシュ、と嫌な音が響く。
「ぐ・・・あああああっ!」
喉から絶叫を絞り出し、リヒティはメイスを叩きつける。
(クリスティナだけは!)
それだけを念じ、クリスティナの腕を掴む。
「リヒ」
「有世」
一瞬だけできた空白。リヒティは、そっとクリスティナに向けて微笑み、囁いた。
「愛してる」
クリスティナが
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ