暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第267話 見せちゃった秘匿
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初めての感情を向けた人だから。


 そんな事を考えていた時だ。

「――ぃやっ!」

 リュウキの声が聞こえてきたのは。
 そして、それはリュウキにとってはある意味最大の誤算(笑)でもあった。

「爺や 忘れてたよ。紅茶だけじゃないんだ。ショコラクッキーもあってね。僕、あの味だけは覚えてる。忘れられない味だから」

 リュウキの声は間違いない。だけど、明らかにいつもとは違う声色。そう言うなら甘える様な、甘えているような、そんな感じだった。
 いつもの冷静で凛々しくて、勇ましいリュウキのものではなく、 その可愛らしいと皆に何度か言われた姿にマッチしている、と言える。

 ガチャっ! と勢いよく開く扉。

「あのね、もう一つおもい、だしたん……だ、け………ど?」
「………………」

 開いたと同時に相見えるアスナとリュウキ。

 リュウキは固まっていたのだが笑顔だった。この笑顔はアスナも見た事がある。最近はめっきり少なくなったが、特にSAO時代に見た顔。時折、一瞬見せるリュウキの笑顔だった。笑顔だったんだ。でも完全に固まってしまっていた。
 
 
「あ、あは、あはは…… そ、そのー」
「……………あ、あす………?」
「ごめんねーリュウキ君。ちょっとお邪魔してるよー」


 アスナはただただ、リュウキの笑顔に負けない様な笑顔を見せていた。
 申し訳なさもあるが、滅多に見る事が出来なかった超がいくつも付くであろうレアな笑顔を見れて、良かったとも思う。


 何よりも やはり、『リュウキはとても可愛い』 と心から思うアスナだった。
 
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