第七十九話 江戸の街その四
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「けれどたい」
「男はか」
「あまりたい」
これといってというのだ。
「遊びたいとはたい」
「思わないか」
「そうたい」
こう幸正に答えた。
「ついでに言うと博打もしないたい」
「あれもか」
「してもあまりしないとよ」
そうした意味でしないというのだ。
「少し負けたらいつも止めてるたい」
「それがいいですね、若し頭に血が上ると」
そうして博打をすると、とだ。謙二は香織に言った。
「あれだけ悪くなるものはありません」
「負けて負けてたいな」
「さらにのめり込んでしまって」
「借金ばかり増えるたいな」
「そうです、ですから少し負けて止める位なら」
「丁度いいたいな」
「博打は魔物です」
謙二はこのことは強い目で述べた。
「若し取り憑かれますと」
「滅びるたいな」
「そうなりますので」
それ故にというのだ。
「出来るだけです」
「のめり込まないことたいな」
「それがいいです」
こう香織に話した。
「出来るだけ」
「やっぱりそうたいな」
「江戸も博打は盛んだと思いますが」
「あの街が一番盛んだな」
幸正は謙二にこう述べた。
「この島ではな」
「そうなのですか」
「あちこちに賭場がある、寺や神社があればな」
「その中で、ですね」
「夜にやっている、江戸は人が多くそれだけに寺も神社も多いが」
「その寺社で」
「毎晩みたいに開かれている」
賭場、それがだ。
「そうなっている」
「そうですか」
「博打の街と言っていい、そしてな」
幸正は江戸についてさらに話した。
「随分と喧嘩も多い」
「江戸だけに」
「何かと喧嘩っ早い奴も多い」
「そこも江戸らしいですね」
「そうだな、そしてな」
「その江戸にですね」
「これから行く、賭場も喧嘩も多いが」
そうしたお世辞にも上品とは言えない趣もあるがというのだ。
「面白い街だ」
「そうですか」
「かなりな」
こう謙二に話した。
「あと食いものも美味い」
「そちらもですか」
「寿司もあれば天婦羅もある、ただ鰻はな」
「背中から切りますね」
「そこは違う」
「あれは東の捌き方たいな」
鰻を背中から切るそれはとだ、香織は述べた。
「江戸はお侍が多いたい、だから」
「腹から包丁を入れるとな」
「切腹になるたい」
「だから避けている」
江戸ではというのだ、尚このことは東京でも同じだ。
「江戸は武家の街だからな」
「それたいな、武士の人が多いと」
「武士の影響を受ける」
「どうしてもそうなるたい」
「博多はあれでしたね」
謙二は香織の故郷のことをここで問うた。
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