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レーヴァティン
第七十九話 江戸の街その三
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「その様ですね」
「そうだな、酔っていないなら敵が来てもだ」
「大丈夫ですね」
「船酔いはこの世界ではこのことも怖い」
「船酔いで体調を崩している時に敵が来れば」
「これ以上厄介なことはないからな」
 だからだというのだ。
「皆船酔いになっていないならな」
「大丈夫ですね」
「そうだ、それならだ」
 まさにというのだ。
「船の上での戦いも安心出来る」
「皆船にも鍛えられているってことたいな」
 今も飲みつつだ、香織は言った。
「いいことたい」
「そう言うあんたが一番大丈夫そうだな」
「何度も言うが船にもお酒にも強いたい」
「酔う体質ではないか」
「そうたい」
 大盃を右手にしての言葉だ。
「うちは」
「それは何よりだな」
「そうたいな、しかし美味しいお酒たい」
「黒糖焼酎だ」
「そっちの焼酎たいか」
「それだけにな、美味いしな」
 それにとだ、幸正も飲みつつ話した。
「強いが」
「これで強いたいか」
「結構な筈だが」
「これ位なら平気たい、それに」
「それに。何だ」
「うちはウイスキーボトル五本空けたことがあるとよ」
 香織は笑って自分がかつて飲んだ時のことを話した。
「それだけたい」
「本当にうわばみだな」
「しかしまだまだたい」
「それだけ飲んでもか」
「松方弘樹さんはそこにプラス日本酒一升と聞いたたい」
 俳優であったこの人はというのだ。
「あの人と比べたら」
「まだか」
「そう思うたいが」
「ウイスキー五本はな」
 幸正はそこから言った。
「相当だぞ、我は二本飲むとだ」
「限界たいか」
「飲んだことはないが」
 そこまではというのだ。
「一本はあった」
「一本空けてどうなったとよ」
「次の日二日酔いにはなかっていなかったがな」
「お酒残っていたたいな」
「そうなっていた、それが二本になると」
 それこそというのだ。
「間違いなく二日酔いだ」
「そうなっているたいか」
「記憶もなくなってな」
「そうなるたいか」
「それを五本にしかも日本酒も一升か」
 そう聞いて言うのだった。
「凄まじい酒豪だな」
「あの人はそうだったらしいたい」
「遠山の金さんも演じていたが」
 この時代劇の名作の今現在最後の金さんとなっている。
「本当に遊び人だったというしな」
「飲むのも豪快さんだったとよ」
「凄い人だったんだな」
「家庭人としては色々言われているたいが」
 女は芸のこやしと言っていた昔ながらの俳優だった、二十一世紀になると遊び人はいてもこう言う俳優はいなくなったと言っていいだろうか。
「しかし悪人ではなかったらしいたい」
「遊び人でもか」
「面倒見のいい人だったと聞いているとよ」
「そうだったんだな」
「気前もよくて
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