「そう驚いていただけると、わたしも非常に嬉しいです」
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ネペント》は目標のものではなく。クエストの目標は森の中に稀に現れるという、花がついたリトルネペントだという。
「それと気をつけなきゃいけないのが、たまに敵についてる実を落としちゃうと、付近にいる連中が集まってくるんだと」
「なるほど」
森の中に稀にしか存在しない敵を見つけだし、かつ囲まれる危険もあると、確かにガーネット一人では辛いクエストで、ガーネットはそんな説明をしながらも少し戦慄する。そんなガーネットの内心など気づかず、友達から聞いた知識をそのまま暗唱しているだけなども知らず、ガーネットの博識さにプレミアは感心しつつ。
「では、あそこに落ちている実はなんでしょうか」
「え?」
「……その《リトルネペントの胚種》です! 逃げて――」
ユイの警告が間に合うこともなく。その特性を利用し、わざと《リトルネペントの胚種》を他のプレイヤーの近くで投げ捨て、リトルネペントにプレイヤーを倒してもらって自分は空に逃げる――なんて狩りが流行っているとも、友達に聞いたことをガーネットが思い出すとともに、三人の周りにこの森中とも思えるリトルネペントが集結していた。
「ん……」
目標だったワークブックがようやく終わり、ショウキは椅子に座りながら身体を大きく伸ばす。特に決めていなかった将来の目標なんてものがようやくできて、少しは充実しているらしいなどと、他人事のように思いつつも、目線は自然と《アミュスフィア》の方へと向かっていた。
「…………」
プレミアはどうしてるだろうか――と、やはり気になってしまって。まだログインしているようにはしているが、やはり頻度はどうしても下がってしまっていて、プレミアに悪いと思わないといえば嘘になる。こんなことだから過保護などと言われるのだろうが、と自嘲していれば電話が鳴って。
「もしもし……菊岡さん」
『ああ、もしもし。一条くん?』
携帯に映る電話先の人物に、一瞬だけ電話を取ることに躊躇しつつ。最近は呼ばれることも珍しい名字を呼ばれながら、あのうさんくさい声色と雰囲気を再現できるとは、文明の発達というのも考えものだ。
『どうかな。先日の件、考えてくれたかい?』
「はい。今度の試験、受けてみようと思います」
『それはよかった! いやぁ、これで僕の面子も立つってものだよ』
先日、菊岡さんから勧められた、自衛隊の試験。考えておいてくれと言われたものの、自分で調べて受けることを決めた。地方への出向などもあってリズの店とは合わない仕事だと思ったが、まさかすぐにリズも店を出せる訳もなく、それまでしっかりと稼いでいくのも悪くないと。いざリズが店を出したなら、任期制なのですぐ辞められるということもある。
「まだ面子を潰すか分かりませんよ」
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