「そう驚いていただけると、わたしも非常に嬉しいです」
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ネットはふと気になったことをユイに問いかけた。民家の中にいたNPCは、クエストを受注させるための機械的な会話のみで……というより、NPCとしてはそちらが一般的なのだが。明らかにユイはそれらとは違うとガーネットが感心していると、その眼前にプレミアがふよふよと浮かんできて。
「では、わたしはどうでしょうか?」
「は? どうって……プレミアさんNPCなの!?」
「そう驚いていただけると、わたしも非常に嬉しいです。むふー」
今更ながらにNPC特有の表示を見たガーネットの驚きように、プレミアはいたく満足した。『むふー』が出るほどの満足度は、ショウキに抱かれながら飛んでいた時以来の出来事だ。遂にNPCだとは思わなかったなどと知らない者に言われた嬉しさに、プレミアは空中をぐるぐると浮遊し始める。
「ガーネットさん、ここからは歩いた方が」
「お、おう! そ、そうだな……」
「相手はどんなモンスターなんですか?」
群生地に飛んで乗り込むなど的にしてくださいと言わんばかりで、それが空中戦に不慣れなガーネットとプレミアならば言うまでもない。まだガーネットは先の衝撃から立ち直っていなかったが、ユイの忠告通りに適当な場所で降りると、そこは木々が生い茂る森の中腹だった。
「ああ、《リトルネペント》って言って、植物に口と足をつけたような……」
「それはあのモンスターのことでしょうか」
「そうそう、あんな感じっておわっ!?」
今回のクエストの討伐対象は《リトルネペント》。ガーネットの言った通りに、見た目は口のついた植物といった様相で、触手や溶解液を使ってくる植物系のモンスターの基本とも言える敵である。とはいえリトルや基本型といえども、その体躯はプレイヤーたちとは比べ物にならず、プレミアは目の前にいた《リトルネペント》に、リトルとはなんでしょうかと疑問符を浮かべて。
「この……っ!」
魔法を使ってる暇はない――というよりも、魔法使いになったことを忘れたかのように、ガーネットは携えていた杖で殴りかかろうとしたものの、吐かれた溶解液にたまらず距離を取った。とはいえそのおかげで、プレミアも細剣の突進距離まで離れることが出来たが、自由自在にうねる触手に弱点の一点狙いは出来そうもない。
「ガーネットさん! 魔法を!」
「あ、そか、ええと……」
しかしプレミアに向けて襲いかかってきた触手は、ガーネットの杖から放たれた火の奔流が焼き尽くして。その隙を見逃すことはなく、プレミアの正確無比な一撃がリトルネペントを貫通する。
「やりました。楽勝です」
「あー……いや、こいつじゃないみたいだな」
ポリゴン片の中で決めポーズを決めてみせるプレミアだったが、あいにく今しがた倒した《リトル
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