ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
3章 穏やかな日々
26話 揺らぎ
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すごむ。キリトは必死に叫ぶが、店内にいるのはツカサとキリトのみ、助けてくれる人はいない。
「せいぜい過去の自分を呪え」
今度ニヤリと笑うのは、ツカサの番だった。
ミーシェの大通りを歩いていた数人が、かすかに少年の悲鳴を聞いたが、その正体を知る由もなかった。
―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―?―
ツカサが自宅の扉を開け、中に入ると電気はついていなかった。だが、西側の窓からわずかに残っている夕日の光が入ってきているため、そこまで暗くはない。
部屋の電気をつけると、ダイニングテーブルの奥に置かれたソファの上で何かが起き上がる。ルーだ。ルーの寝そべっている隣に腰を掛けると、ツカサの膝の上に飛び乗ってくる。つやつやとした毛並みを撫でてやると、ルーは嬉しそうに尻尾を振って、舌をだらんと出した。
「ごめんな、留守番ばっかさせて」
元はといえば、一度ツカサを殺しかけたほどの強さを誇るボスモンスターであり、テイム化しているとはいえ、それでもステータスはそんじょそこらの使い魔よりも驚くほど高い。戦闘に連れて行けば助かること間違いなしなのだが、ツカサがルーを連れて行かないのは、単純に目立つから、という理由だ。何せ、SAO内でもう知らぬ者はいないといっても過言ではないほど有名人のため、街に行くときは、必ず目深にフードをかぶる。だが、ルーを連れていたら、それがトレードマークになってしまい、どんな格好をしていようがお構いなしとなってしまう。何しろ、ビーストテイマーはただでさえ目立つのだ。ルーはかなりのイレギュラー要素を持っており、こうして家に置いていけるのは、ツカサにとってありがたいことだった。そんなわけで、ルーは自宅警備員化している。システム的に、盗みに入られることはないのだが…。
ルーの頭を機械的に撫でていると、わずかな扉が開く音とともに、誰かが家の中に入ってくる。もちろん、ここの家のもう一人の住人であるリアだ。
「ただいま〜…あれ、ツカサ君、先帰ってたんだ」
「ああ、ついさっきな」
そうなんだ、と言いながら、リアの姿はリビングの奥に消える。着替えに行ったのだろう、ものの数秒で戻ってくる。今日は白いハイネックのセーターに、薄紫のフレアスカートだ。
「ツカサ君、コーヒー飲む?」
「ああ、頼む」
ツカサの返事をきくと、リアは台所へと移動し、すぐに小さな盆に、湯気の立つマグカップを2つ乗せて持ってくる。ツカサはルーを膝から下ろし、ダイニングテーブルに座る。リアはその向かい側に腰を掛け、ツカサの前にマグを置いた。
「はい」
「ありがとう」
口
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