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3章 穏やかな日々
26話 揺らぎ
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な知識や経験がアスナに身についているのか?



 段々、ツカサの中の確信が薄くなってくる。



「…ツカサ?」

 沈黙に耐え切れなくなったのだろう、キリトが遠慮がちに声をかけてきたため、ツカサの意識はやっと身体に戻ってきた。


 こうしていろいろな検討をした結果は…もしかして、アスナはキリトのことが好きなんじゃないか、などという、下手なことは言えない。



「…いいんじゃないか?パーティー構成も、筋力値よりのキリトに、敏捷のアスナだから、かなりいいしな」
「そうか…」

 ふむ、と思案しているキリトの顔を見ていると、まったく考えていなかった言葉が口からこぼれた。


「それに、俺たち以外の人間ともう少しかかわりを持ったほうがいいんじゃないか。…あんなことがあったあとだから、怖くなるのはわかる。…その点、アスナは問題ないだろうし」


 キリトの顔がわずかに歪み、暗くなる。


 ツカサもリアも、キリトの身に起こった、“キリトの所属していたギルドが、キリト以外全滅した”という事件についての詳しいことはあまり知らない。だが、その事件がキリトに与えた影響は計り知れないほど大きいものだったことぐらい、キリトと接していればすぐにわかる。それから、キリトが異常に人を避けるようになったのも…。


 だが…

「ああ…そうだな…」

 まるで、自分に言い聞かせるように、キリトはつぶやくように言った。キリトも、キリトなりに前に進もうとしているのだろう、そんな決意が、目の前の少年からわずかに発せられているような気がした。


「…あんまり、一人で全部背負い込むなよ」

 リア以外にこんなセリフを吐いたことがないため、するりと口からこの言葉が出た瞬間、誰よりもツカサ自身が驚いた。キリトも少なからず驚いたようで、数度目をしばたたかせたが、すぐに微笑を浮かべた。

「ああ…サンキューな、ツカサ」


 キリトも、消して楽しい人生を送ってきたわけではないとは分かっている。だが、なぜか一瞬、キリトが無性に羨ましく思えた。普通に生まれていたら、今頃は普通の人生を歩んでいたのだろうか。ふと浮かんだ思考に、ツカサは思わず苦笑した。阿呆らしい考えだ。

 怪訝そうなキリトに首を振って何でもないと示し、

「俺でよければ、いつでも話ぐらい聞くから」

 すると、キリトはいつも通りのニヤリとした笑みを浮かべる。

「おっ、流石はSAOナンバーワンのイケメン優男だな」
「…なぁ、キリト、実は俺、今も武装解除してないんだが」
「ちょ、ま、待てツカサ、無限槍で短くして隠し持ってるだなんて卑怯だぞ!」

 懐から少し長めの短剣サイズになっているヴェンデッタを取り出しながら、ツカサが
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