第十一話
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元締めの使いという人がA班を尋ねて来た。
先程の件の礼と話がしたいと言う事で元締めの家に来て欲しいとのことであった。
カイム以外の四人は何もしていないと断ろうとしたのだがカイムが社会勉強になると四人を説き伏せ全員で向かう事になった。
オットー元締めの家に入り、多少の雑談をした後に大市の騒ぎの話題がでるとやはり気になっていたのかラウラがその件について質問を投げかけた。
「しかしご老人……市の許可証というのは本来領主の名で発行されるもの。今回のような手違いはいささか腑に落ちぬのだが。」
「確かに……領内の商いの管理は領主の義務でもある筈だし。」
ラウラに続いてリィンも疑問をあげるとオットー元締めは困ったように話し始めた。
最近になってクロイツェン州を収めるアルバレア公爵家が大幅な売上税の引き上げを敢行、前年度に比べて収める税の割合が格段に跳ね上がってしまったのだ。
儲けが少なくなるなら商人達はそれを補う為に必死に売り上げを伸ばそうとする。
そしてそうした空気はすぐに蔓延し、先程のような事が起きやすくなるのだ。
無論オットー元締めとて黙って見ていた訳ではない。
幾度と無くバリアハートの公爵家に増税取り止めの陳情をに向かったが取り合ってもらえずに門前払い、その状況が二月も続いているのだ。
「さっきの様子だとその頃から領邦軍も動いてないのでは?」
「鋭いのう、その通りじゃ。」
「何とも分かりやすい嫌がらせだこって。」
カイムと元締めのやり取りで他の四人の疑惑が確信に変わった。
つまり一連の事件は全て陳情を取り消させるためのアルバレア公の嫌がらせである。
その事に全員が呆れ顔をしかめていると、オットー元締めが安心させるように口を開いた。
「まあ、君達が気にすることではない。これはワシら商人の問題じゃ。君達は『特別実習』に専念しなさい。」
その言葉を最後に話は終了し、お茶を飲み終えオットー元締めに礼を言って五人は家を出た。
そして少し離れた場所で五人は先程の話について議論していた。
自分達でも何か出来ることはないかと。
しかし自分達が学生である以上、必要以上の介入は越権行為になりオットー元締めにも迷惑がかかる。
「いっそユーシスに頼むとかカイムがこのまま元締めと解決するとか出来ないの?」
「そりゃ無理だ。ここはアルバレア公の領地で俺は貴族とはいえ爵位は下、しかも正規軍だ。さっきのは喧嘩の仲裁だから言い訳も出来るがそれ以上に踏み込むとなるとな。ユーシスに頼んでも当主が決めた事だから流石に覆せねえよ。」
「やっぱり無理かぁ……。」
「──うんうん。悩んどるみたいね、青少年達。」
議論をしていると横から聞き覚えのある声が聞こえそちらを向く
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