88話:演奏会
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演までの待ち時間になにか別の機会を用意できればとマグダレーナ嬢がお考えになられて、パトロンをされている方々の作品を展示しているのです。絵画の方もあまり詳しくないのですが、リューデリッツ邸によく飾られているメックリンガー中佐の作品は、風景画以外観た事が無かったので驚きました。あのような作風の物もお描きになられるのですね。少し意外でしたので印象が強く残っております」
「リューデリッツ伯がどちらかと言うと自然の風景画をお好みなので、ヒルデガルド嬢には新鮮だったかもしれませんね。中佐は様々な物をモチーフにされていますよ。今回の作品は淑女の皆さまにはすこし過激かもしれませんが、艦隊戦がインスピレーションのきっかけになったそうです。色彩が今までの作品とは異なるので、私も意外に思った印象があります」
「それで納得できましたわ。色彩が夜景のようでしたのに、なぜが美しさだけでなく猛々しさみたいなものを感じました。絵画に疎い私にも、何か感じるものがありました」
「それを聞けば中佐も喜びましょう。私からも伯にお伝えするようにいたします。もっとも中佐の絵はこれからはかなり貴重なものになりそうですよ?昇進されてもともと多忙でしたし、自分の絵が評価される事は嬉しいそうですが、あまりにも高額で取引されると、それも忸怩たる思いを感じるそうで、現在は親しい方の昇進の際や、ご結婚など慶事に贈答する形にされていますから」
「そうなのですね。何か心に響くものがありましたから、ご縁もありますし一作購入をとも思いましたが、私の予算では難しいかもしれませんね」
「私も絵の価格には詳しくないので、お答えいたしかねる部分がありますが、軍部系貴族の間で人気になっているのは間違いない話です。人気と言えば、軍部系貴族では肖像画を遺す風潮があるのですが、実質パトロンであるリューデリッツ伯が肖像画をまだ打診されていないのです。いくら何でも、伯を差し置いて依頼する訳にもいかないので、機知に富んだシェーンコップ男爵になんとか伯の肖像画を中佐に描かせるようにと方々から打診があるそうです。一部では、どんな口実で伯に肖像画を打診させるか、賭けになっているそうですよ?」
「シェーンコップ男爵は確かに機知に富んだ方でいらっしゃいますものね。どんな口実を使われたのか?結果が出ましたら是非教えて頂きたいです」
ヒルデガルド嬢とそんな話をしていると、貴賓席の入り口がノックされ、アルブレヒト殿が入ってこられた。
「お待たせして済まない。あこぎな商売をしている評判がよくない画商がメックリンガー中佐の絵を買い受けたいと強引に迫って来てね。あの作品はRC社で買い取ったものだからとお断りしたのだが、しつこくて難儀した。付き合いのある貴族家の名前を出して脅迫気味の交渉をしてきたから、そのまま宮廷警察に
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