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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
87話:婿探し
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宇宙歴793年 帝国歴484年 10月上旬
首都星オーディン マリーンドルフ邸
フランツ・フォン・マリーンドルフ

「お時間を頂きありがとうございます。マリーンドルフ伯。ヒルデガルド嬢には姉ともども良くして頂き感謝に堪えません」

「同席させて頂きます。ミューゼル卿の補佐をしております。キルヒアイス大尉であります。よろしくお願いします」

「ご丁寧にありがとう。マリーンドルフ伯フランツです。まあ、堅苦しいのはこれ位にして、席の方へどうぞ」

私が席を進めると、ミューゼル卿はともかくキルヒアイス大尉はすこし戸惑う印象があった。確かに普段リューデリッツ邸で過ごしているとはいえ、ほぼ初対面の伯爵相手に身分を気にしないわけにもいかんか。ここはもう一言添えたほうが良いだろう。

「リューデリッツ伯とは幼年学校で先輩後輩の仲だったし、グリューネワルト伯爵夫人にはヒルダが良くして頂いている。君たちは娘の学友でもあるのだから、公の場ならともかく、こういうプライベートな場ではそこまで遠慮しない方が良い。それでは私もどう話したものか悩んでしまうよ」

大尉も察してくれたようだ。『お言葉に甘えさせていただきます』と添えて、席に付いてくれた。おそらくミューゼル卿の側近候補なのだろうが良く教育されている。それなりの爵位持ちの出身なら、ヒルダの婿に欲しいくらいだが、そんな事をしたら彼が良い顔をしないだろう。視線をミューゼル卿に戻すと何やら意外そうな顔をしていた。

「お気遣いありがとうございます。些細なことなのですが、リューデリッツ伯にも幼年学校に通われた時代があったと思うと意外と言うが......。私が伯とお会いしたのは10歳の時でしたが、既に帝国軍の重鎮で、RC社を始め実績を上げられた後でしたので......」

「リューデリッツ伯にも私にも幼少期はもちろんあるとも。ただ、お互いに家の事情で将来が決まっていたからね。私の場合は父が病床にあったから進路を地方自治の大学にせざるを得なかったし、伯は、ルントシュテット伯爵家の出身で、軍人として身を立てる事を期待されていたからね。他の進路を志望したくても出来なかった。幼年学校で首席の後輩から、『実は経済系の大学に進みたいのだ』と漏らされた時はそんな話があるのかと驚いたものだ」

そう言えば、この話は伯の嫡男でもあるアルブレヒト殿にもした話だ。どうやら伯はよほど『軍人』という印象を周囲に持たれているらしい。そしてあの時と同じように、まだ若い二人に驚きを提供できたようだ。

「私たちがお屋敷にお世話になる前は、そんな事を洩らされていたとシェーンコップ男爵から聞いた覚えがあるのですが、よく冗談を交えてお話されるのでてっきり冗談だと思っておりました」

「アルブレヒト殿も同じような表情をされていたな。
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