86話:特権
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いる辺境星域以下の経済規模ですし、場所によっては農奴並みの生活を強いられている様に存じます。『民主主義』では自分たちで為政者を選べるのに、なぜ『苛政』を強いる為政者を選ぶのでしょう?」
「キルヒアイス、おそらくだが、叛徒軍は全てが首都星ハイネセンを中心にして社会が作られているのかもしれないな。人口も圧倒的に少ない状況で帝国と、いつかは対決する日が来ると建国期の先人たちは考えたはずだ。社会基盤の安定性を考えれば、重要な部分はある程度は分散させるべきだが、その分、効率は悪くなる。いずれ来る帝国との対決に向けて効率を優先しハイネセンを中心に社会を作った。
結果、何かにつけてハイネセンの意向を気にせざるを得なくなり、ハイネセンの叛徒の意向が優先されるようになる。そうなれば拡大期は良いが、停滞期に入れば真っ先に割を食うのは末端だ。経済レベルもバーラト星系から離れるほど低くなる。本来なら後背地になるため、もっと発展していても良い星系もハイネセンの経済力を越えないレベルに抑えられている。これなら説明がつくが......」
「帝国でも聞いたような話ですね。私の目にはハイネセンの叛徒たちが門閥貴族のように見えて参ります。皆の困窮をよそに、自分たちは比較的豊かな生活をされてるようですから。建国の地とは言えその後継者たちまでが優遇されるというのも、特権の様にかんじてしまいます」
確かにキルヒアイスの言う通りだ。『爵位』という明確な物は存在していないが、建国に関わった功労者たちの子孫が、子孫であるというだけで実質『特権』のような優遇をされるなら、帝国の貴族階級と何も変わらない様にも思ってしまうが......。俺たちが数ヵ月で取りまとめた資料を読んで感じる違和感を、叛徒たちは感じないのだろうか?
「とにかく少なくとも『経済的格差から分断』することは十分可能性がありそうだが、それもあくまで手元に集めたデータで出した仮説にすぎない。もっと多くの情報を集める必要があるだろうし、政治や法律、経済の有識者に見解を聞いてみるのも良いかもしれないな」
「分かりました。オーベルシュタイン卿に確認が必要でしょうが、開明派を自称されているブラッケ氏やリヒター氏。RC社のアルブレヒト様とシルヴァーベルヒ氏。司法で言うとルーゲ伯、地方自治で言うとマリーンドルフ伯に打診の上、お時間を頂けるなら見解を伺ってみましょう」
キルヒアイスが早速手配を始める。アポイントの調整も含めれば、候補に挙がった方々に話を聞くだけでもかなりの時間がかかるだろう。他にできる事と言えば禁書になっている『共和主義者』の書籍の研究だろうが、さすがにそこには手を出せない。社会秩序維持局に借りを作るのは政府系貴族に借りを作ることになるから控えるべきだ。
そう言う意味では世事に詳しいシェーンコップ卿や、ロ
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