第6章:束の間の期間
第181話「これからの事」
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ょう?」
「あ……そういえば……」
「椿と葵にも教わっていないな」
「やっぱりね……」
思い出したかのように言う司と優輝に、鈴は呆れたように溜息を吐く。
「“縁”がこれ以上薄れる様子はないから、慌てる必要もないわね。再召喚するなら、入念に準備しましょう。私が確かめておきたい事もあるしね」
「確かめておきたい事?」
「幽世の大門についてよ。あの執務官にも、一応伝えてあることだけど……」
「大門について……」
どういうことなのかと、奏が疑問に思って言葉を反芻する。
「私に憑いている妖……守護者との戦闘でもいたでしょ?悪路王って言うのだけど……本来門の守護者である悪路王がまだ現世にいられる原因を知りたいのよ」
『力のある妖や、特殊な妖であればしばらくは現世に留まる事もできる。だが、生粋の妖怪でもない吾が現世に留まれるはずがないのでな』
「私たちはこれの原因が幽世との“縁”にあると睨んでいるわ。幽世の大門が開かれた際に繋がった幽世と現世の“縁”が、大門を閉じられた後も続き、その影響で悪路王が残れるようになっている……とね。まぁ、推測の域を出ないのだけど」
司達が知る由もなかったが、大門や他の門が閉じられた時、各地に妖は残っていた。
門が閉じられたため大きく弱体化した上に、現地にいた魔導師や退魔士によって殲滅されたが、確かに悪路王と同じように消える事なく残っていた。
ちなみに、京都周辺は大門の守護者が“禍式”を使う際に、瘴気として吸収してしまったため、妖が残る事はなかったりする。
「それって……大門がきっちり封印されいないとか?」
「あの子がそんな愚を犯すとは思えないけどね……。幽世の神もあの子の抜けてる部分を補うような性格に見えたし……」
「だからこそ、確かめに行く……と」
「さすがに明日に改めるけどね」
“まずは回復を”。そう考えて、調査と再召喚は明日にすると鈴は言う。
優輝たちもそれに異論はなく、了承した。
「午後に調査と準備。再召喚は夜に行うわ。時間帯もちょうどいいからね。午前は自由にしてちょうだい。学校とかへの連絡もあるでしょうし」
「わかった」
「了解!」
明日の予定を大まかに決め、話は終わる。
再召喚できるという可能性が出てきてから、司は終始喜びが声に出ていた。
「じゃあ、また明日ね」
部屋から出ていく優輝たちを、鈴は見送る。
一人になった鈴は、安堵の息を吐いた。
「……朗報ね。皆にも伝えておくべきね」
〈そうだね。それにしても、下げてから上げるなんて、君もSだね〉
「なんの話よ……。いえ、確かにしっかり確かめる前に二人が死んだと伝えたのは、いらない悲しみを与えた
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