第6章:束の間の期間
第181話「これからの事」
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すると、そこへ那美が久遠と共にやってくる。
面識のある蓮がすぐに応答する。
「あの……クロノ執務官から、少し落ち着いたから皆にアースラの設備を案内するようにって……そう言われて……」
「貴女がですか?しかし、貴女は別にここの組織の者では……」
「局員よりも一般人の方が感性が近くてわかりやすいだろうって事みたい」
「そういうことですか……」
那美は応答する蓮と会話しながらも、部屋の中の雰囲気を感じ取る。
「……何か、あったの?」
「それは……」
蓮は言い淀む。
那美は椿や葵とも交流があり、そして人の死にも慣れている訳ではない。
それを知っているからこそ、不用意に伝えていいのか悩んだのだ。
「……椿と葵は知ってるわね?」
「鈴ちゃん?知ってるっていうか、二人に霊術は教えてもらってたけど……」
那美は、どことなく嫌な予感を感じ取った。
それに対し、鈴は言い聞かせるために那美の肩を掴む。
「……あの二人は……死んだわ」
「……えっ?」
「ずっと戦い続けた結果、よ」
「そん、な……」
葉月と同じように、那美も信じられないと言った風に驚く。
実際、言葉だけでは到底信じられなかった。
「…………」
「落ち込むのもわかるわ。……私も、信じたくなかった」
「……あの二人には、何かとお世話になったから……でも、死んでしまうなんて……」
涙を流す那美。鈴はそんな那美の背中を擦り、落ち着かせるように慰める。
「くぅ……」
「久遠……ありがとう……」
黙って肩に乗っていた久遠(子狐状態)が、慰めるように顔を擦り付けてくる。
そんな久遠の気遣いに、那美も少しは落ち着く。
「……無理して立ち直らなくてもいいわよ?」
「ううん……戦うって事は、死と隣り合わせなんだって、二人からよく言われてたから……無理はしてないよ……」
式姫は戦争などで人の死をよく見てきた。
そのために、那美よりも早く立ち直っていた。
しかし、那美も立ち直りが早かったため、鈴は無理してないかと心配したのだ。
事実、那美は立ち直った訳ではなく、悲しみを引きずっていた。
……それでも、頭では理解できていた。
「……とりあえず、案内するよ。……あれ?もう一人いたんじゃ……」
「鞍馬なら執務官の手伝いをしてていないわよ。まぁ、あっちはあっちで何とかやっていると思うからあまり気にしないでもいいわよ」
「そう?じゃあ……」
悲しさを少しばかり引きずりながらも、那美は式姫達を案内した。
「(……皆にああは言ったけど、やっぱり信じられないわね……。出来たら、直接確かめるか聞きに行けたらいいのだけ
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