暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
エピローグ 変わり得た明日の一ページ
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
なるその姿に、少しだけ見惚れながら。

「やっぱり、あの時私のことを名前で呼んでくれたのは嘘じゃなかったんだなーって。これまで色々とあって、どっちも安易に呼べなかったからね」

「そうだな。これからもそんなに気軽には呼べないけど、こうして2人の時なら問題ないもんな」

「うん。それがなんだか嬉しくて」

 フローラの笑顔の理由は些細な違いによるものであったが、それだけでも笑顔になれる要素としては十分だった。2人の距離が近づいたと分かる、そんな違いだったからだ。

「あ、そうだ。早く食べないとお昼時間終わっちゃうね」

「げ、それはマズイな。早く食べよう」

「うん。いっぱい味わってね。はいどうぞ」

「どうも」

 フローラが膝の上に置いていたバスケットから、1つサンドイッチを取り出してエースに手渡した。


 やっと手に入れた幸せの先には、きっとたくさんの可能性が眠っている。例え探り当てるのに時間がかかっても、その可能性の中から良いものだけを1つずつ紐解いていこうと、エースは手の中のサンドイッチを口に入れながら決めたのだった。






* * * * * * *






「やれやれ……うらやましいね」

 気になっていたその様子を、報告が終わった後に陰から見ていたミスト。ひっそりと感想を独り言のように呟いた。

「そんなとこで見てたら、ストーカーみたいに思われるよ」

 その後ろから、呆れたような声でそう言うのは、こちらも妹の姿が気になるセレシア・プラントリナである。

 治癒魔法とて万全ではないので、セレシアの傷はまだまだ全快ではない。それでも、生活をするのには困らず、誰にも追求されないほどには治っているらしい。それを聞いた時、ミストが安堵の息を漏らしていたことは、ミスト自身の秘密だ。

「んー……面白いネタが取れれば、それはそれでいいかな」

「よくないと思う」

 ミストの言葉にジトッとした視線とストレートな言葉を投げるセレシア。

 だがその状態が維持されるのは少しの間だけで、すぐにいつもの表情に戻った。

「あの2人、ホントにお似合いだよね」

「僕もそう思う」

 あんまり覗き込むとバレるので僅か数秒間だけだったが、その数秒間だけでもお似合いだと分かるほど、絵になっていた。それが、あの戦いで勝ち得た一番のものだったと、おそらく全員が思っている。

 かたや自分の幸せを、かたや兄妹の幸せを勝ち得たことは、大きな進歩であった。

「ホントはね、あの時何も考えずに突っ走っていったこと、少しだけ浅はかだったかな、って思ってる。スプラヴィーンくんなら、もっと上手くやれたのかな、って」

「うーん、どうだろうね。僕ら4人の中
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ