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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第28話 終わりを呼ぶ風の導き
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アンドアウェイを主とするミストにとっては圧倒的に不利な状況の中、ここまで引き伸ばしたのは自分でもよくやった方だと思っている。

――それならそれで、悪くはないかな

 もし相手の言うことを信じるなら、エースはすでにこの世にいないか、瀬戸際なのだろう。自分もそれを追う形、というのは、正直言って悪くない。1人で生きられるほどミストは強くないと、自分で思っている。

 だが、自分に課した仕事をまだ果たせていない。セレシアもフローラも自分の出来ることをやっている状況で、自分だけが諦めるのはいけないと、自分を奮い立たせる。

 
 きっと復活してくるであろう兄がここに来るまではせめて持ちこたえようと、ミストは残りの力を集中させるイメージを持った。迫りくるフォーティスとその後ろで魔法を構えるエアードに対して、ミストは身構えた。




 その直後、ミストを守るように、前方に薄い障壁が出来ていた。エアードの魔法も、フォーティスの剣も、その厚い透明な壁に阻まれる。

 次いで冷たくなった足元を見ると、この場にいる3人全員が動けないようにされていた。強力な冷気により、凍らされたようだ。壁の向こうで、フォーティスとエアードが戸惑っている。

 これを生成したのが誰か、ミストはすぐに分かった。

「全く……遅いんだよ。待ちくたびれた」

 額から血を流しながら悪態をつくミストのその表情と言葉は、全くリンクしていない。待ちくたびれたとは言っているが、実際余裕はない。

 むしろ今のミストには、その声が嬉しかった。呆れたような言い方は、目の端に浮かんだ雫と感情を抑えるためのものである。

「悪い。色々とあったもんで」

 いつか言ったセリフを、今度は自分が聞く番。

 ヒーローは、遅れてやってくる。






* * * * * * *






 ミストの背後から現れた声の主――エース・フォンバレンは、今この場の現状を何となく把握していた。

 2対1で、ミストが圧倒的に劣勢。そこに自分がやってきた、という感じだろう。むしろ、フォーティスが自分の元を去ってから時間が経っているのにも関わらず、耐えた方だと感じている。ミストもまた、不甲斐ない自分の被害者だ。

 フローラによると、ミストがフローラに話したのはエースの傷の治療に関してだけである。だが、魔力に関しても、色々な要因が絡んだ結果全力で戦闘をこなしてもそこまで問題ない程度には回復している。

 腹部には先ほどの血が滲んでいるが、今はもう出血が止まっているので大丈夫だろう。

「これで対等だろ」

「しかし、あなた方全員手負いでしょう。所詮ぼろきれの集まりに過ぎないあなた方が、まだまだ万全な僕に適うはずがありません。フォ
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