85話:蠢動
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
なりを登用することは出来ないのでしょうか?ルーゲ伯の憤懣も募るばかりですし、リューデリッツ伯のご嫡男とルーゲ伯のご令嬢がご結婚されました。ルーゲ伯の意向に歩み寄るそぶりだけでもする必要があると存じますが......」
「分かっておるが、それも今は動けぬのだ。あの一件で処罰されたものはまだ誰も公の場に復帰しておらぬ。人材がいないからと言って前科者を政府が率先して抜擢など出来ぬ。それにマリーンドルフ伯はカストロプ公の縁者であろう?抜擢などすれば政府は汚職を容認したと判断されかねぬし、そもそもいつ処罰されるのか?と皆が眺めておる状況だ。打診をしてもマリーンドルフ伯が受けるはずがない。
それにマリーンドルフ伯は個人的にリューデリッツ伯と親しく、ご令嬢もなにかとお屋敷に招かれる仲だと聞く。変な受け取られ方をされれば、それこそ火種になりかねぬのだ。致し方あるまいが、尚書はともかく局長クラスは実績があるなら下級貴族や平民を抜擢してなんとかしのぐしかあるまいな......」
結局、リヒテンラーデ候が国務尚書になられてから、すべきことは明確であるのに、したくても出来ぬ状況が続いている。私にもう少し影響力があればもっとお支えできるのだが......。それに比べれば軍部貴族は人材が豊富だし、軍全体でも下級貴族や平民を抜擢して後進の育成も以前以上に積極的に進めている。彼らからすればまごついてすべきことをしていない政府がどう映っているのだろうか?切り捨てられはしないだろうが、少なくとも当てにできるとは思われていまい。公爵の強欲の矛先だけは軍部に向けさせない。まずはそれを肝に命じよう。
宇宙歴792年 帝国歴483年 12月上旬
地球 旧ムンバイ市街地 地下鉄跡
ド・ヴィリエ大主教
「新たに20万人が、旧デリー付近に追放されて参りました。いずれも着の身着のまま。いずれも地球教の信者たちでございます。受け入れるべきではございますが、すでにこのムンバイでは食糧が不足しつつあります。このままでは共倒れになりかねませぬ」
「ならばうまくチッタゴン方面に誘導せよ。東南アジア方面なら食料に余裕があるはずだ。どちらにしてもあちらの方が気候がまだ温暖だ。春が来るまでに凍死するようなこともあるまい。すぐに指示を出すようにな」
直ぐに教団の者が広間を出ていく。なんとか狂信者の巣窟から脱出できたものの、地球を脱出してフェザーンに潜伏する計画はとん挫した。この惑星に出入りできるのは帝国軍だけだ。そして流刑に近い形で地球に送り込まれる信徒たちは、成層圏でコンテナのような者に移され、輸送機はそのコンテナを地上に置くと、そのまま飛び去って行く。帝国軍に紛れて脱出する事はほぼ不可能。その上、成層圏が静止軌道上に新設された防衛衛星の防空識別圏に入っているらしく、問答無用で撃
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ