ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
3章 穏やかな日々
25話 春の到来!?
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けないと思っていたことを、口にした。
「…アスナは、私を恨んでる?」
「え?」
まったく予想していなかった言葉なのだろう、アスナは眼を見開いたまま硬直する。リアはアスナにかまわず続けて言う。
「私さえいなければ、今頃はきっと…」
ツカサ君の隣を歩いていたのは、アスナだった。たったそれだけの言葉なのに、リアは最後まで言うことができなかった。どうしても、のどが張り付いて、声が出ない。なぜなのかは、リアが一番わかっていた。
「あのね、ツカサさんに告白したときに言われたの」
『今の俺がここにいられるのはリアのおかげで、何よりも、誰よりも俺にとって一番大切なのは、リアなんだ。自分の命とも、比べられないぐらいに…だから、いつになるかはわからないけど、リアが俺を必要としなくなるその時まで、ずっと…ずっと、隣にいようと思ってる。』
「私はシリアで、2人が何を見てきたのか、体験してきたのか、何も知らない。だけど、リアがいなかったら、きっと今ツカサさんは、ここにはいなかったんじゃないかって。それに、ツカサさんは、本当にリアしか見てないんだなって分かったの。だからこそ、すっぱりとあきらめられて、こうして新しい人を好きになれた。恨むなんて、とんでもない、むしろ」
アスナは、そこで言葉を切ると、まるでほころぶ一凛の百合のような笑みを浮かべた。
「ありがとう、リア」
『ありがとう、りあ姉!』
不意に脳裏にそう言って満面の笑みを浮かべた幼い日のキリトがよぎった。従弟というそこまで近い関係ではないものの、基本的に機械好きで趣味嗜好がよく合い、それに加え家も近く、リアの母親が仕事の時は毎回キリトの家に預けられていたため、非常に仲が良かった。
以前、キリトの使っていたパソコンの調子が悪くなり、一度リアがそれを直してやったことがある。その時に、キリトにそうやって礼を言われたのだ。
なぜ今、遠い昔の小さな記憶が思い出されたのか、よくわからない。だが、不思議ともう先ほどまであった胸の痞えはなくなっていた。
リアもつられ微笑を浮かべた。
「そんなこと言われたら、なんとしてでもキリトとくっつけなきゃね」
「え!?」
アスナの頬がみるみる紅潮する。リアはニヤリと笑った。
「アスナってすぐ赤くなるよねぇ」
「そ、そんなことないよ!」
「わー、照れてるー!」
「うるさーい!」
空になった2つのカップは、2人の間のテーブルの上で、仲良く寄り添っていた。
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