377部分:第二十四話 私の誠意その十五
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第二十四話 私の誠意その十五
「生涯を共に過ごす様な」
「そうした恐怖をですか?」
「そうです。私は男性で彼女は女性です」
このことは把握しての言葉である。それもよくだ。
「ですが。女性は」
「女性が同性だと」
「何故かそう感じてしまうのです」
そうなるとだ。王はビューローに話すのだ。
「おかしなことにです」
「陛下、それは」
「御存知ですね。私は男性を愛しています」
自らの同性愛も話すのだった。
「しかしその時はです」
「同性とは感じられないのですか」
「異性に感じます。それで」
「ゾフィー様とのことは」
「同性に感じます。同性を愛すること」
このことをキリスト教、しかもカトリックの観点から考えて。その言葉は。
「それは恐ろしい罪悪です」
「教会はそう言いますね」
「私は既に罪を犯している筈です」
既に男性を愛していっている。それならばだというのだ。
だがそのことについてだ。王はどう考えているかというと。
「しかしそのことに罪の意識を感じたことはなく」
「ゾフィー様とは」
「何故でしょうか。恐ろしい罪悪を感じてしまうのです」
「妙なことですね」
「私もそう思います」
他ならぬだ。王自身もだというのだ。
「そんな筈がないというのに」
「そうですね。まことに」
「私は。結婚するべきなのですね」
「素直に申し上げて宜しいでしょうか」
ビューローは常識人だった。そして師程ワーグナーを完全に理解していない。だからこそだ。彼はこう王に対して述べるのだった。
「そうして」
「どうぞ」
「すべきだと思います」
それはだ。絶対だというのだ。
「しなければなりません」
「そうですね。普通に考えれば」
「そうです。王は王妃を迎えてこそです」
「まことの意味での王となる」
「だからこそです」
それでだというのだ。
「ゾフィー様をお妃に迎えるべきです」
「その通りですね。しかし」
それでもだと。王の言葉は揺らぐ。
その揺らぐ言葉は心そのものだった。その心も出してだ。
王はゾフィーとの婚礼についてだ。ある決断を下したのだった。
それを知った誰もがだ。一体何ごとかと言うのだった。
「御婚礼を延期だと!?」
「バイエルン王は何を御考えなのだ!?」
「何故その様なことをされる」
「それは間も無くだというのに」
「わからない」
王のその考えはだ。殆んどの者がこう言った。
「ここに来てそれか」
「そんなことをして何になるのだ」
「何にもならないというのに」
「どういうことだ」
こう言ってだ。いぶかしむ彼等だった。
「何処をどう考えてなのだ?」
「あちらの家も当惑しているだろう」
「バイエルンにとってもよくない」
「それなのに何
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