第十一話 預言者現る!
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あると判断し在世中は一度も外征を行いませんでした。そして国内の改革に力を注いだ。今では誰もが晴眼帝を名君と称え、帝国中興の祖であると称えています」
校長閣下が一口水を飲んだ。
「反乱軍でも同じように距離という物が軍事行動を困難にさせると言った人物がいます」
え、そうなの? 周りを見た、皆もキョロキョロしている。
「アーレ・ハイネセンと共に反乱軍の指導者であったグエン・キム・ホアです。彼は『距離の防壁』という言葉を言っているのです。これは反乱軍が帝国本土から遠く離れていること自体が帝国軍の侵攻時の兵站の維持や通信の維持、将兵の士気の維持を難しくさせ、それが最大の防壁となるという意味でした」
確かに似たような事を言っている。すごいや、距離の暴虐は僕も知っていたけど距離の防壁は知らなかった。こういうのを授業で教えて欲しいよ。距離が重要なんだって実感出来るのに……。
「ミュンツァー司法尚書もグエン・キム・ホアも同じ事を言っています。表現こそ違いますがそれはミュンツァー司法尚書は攻める立場から、グエン・キム・ホアは守る立場から距離という物に付いて言ったに過ぎません。諸君らもこの距離の持つ意味というのを理解してもらいたい」
なるほどなあ、距離か。こんな事シミュレーションじゃ分からないよ。あ、お昼の鐘が成った。今日は此処までだって閣下が言っている。また閣下の授業を聞きたいな。
帝国暦487年 9月 15日 オーディン 士官学校 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
今日の昼食はマウルタッシェンだ。有り難いね、小食な俺にはピッタリな料理だ。水餃子みたいな料理なんだが非常に美味しい。校長室で一人寂しくお食事だ。学生達と一緒に食事してみようかと思うんだがその度にお昼を教師と食べるのなんて気詰まりだろうと思ってしまう。俺なら絶対に嫌だ、止めておこう。
あー、頭が痛いわ。俺は優雅で長閑な校長先生を楽しみたいと思っていたのに何時の間にか貴族やラインハルトに睨まれる問題児になっていた。おまけに憲兵隊の監視者はキスリングらしい。俺にガンガン説教をした。よっぽど俺は暢気でお馬鹿な男に見えたのだろう。
どうしようかな? はっきり言って前線なんかに行く気はないわ。陰謀大好き爺の相手も御免だし御馬鹿な貴族にも関わりたくもない。士官学校の校長って楽しいんだよ。今日も講義をしたけど生徒達が一生懸命聞いてくれる。可愛いわ。とても止められん。
少し大人しくしていようか。そうすれば人畜無害な校長先生だって皆も思うだろう。ラインハルトだってちょっと焦ってるだけで落ち着けば俺を敵視する事も無くなる筈だ。となると問題はレポートだな。何を書くか……。政治面は駄目だな、あの陰謀爺の信任が厚いなんてお馬鹿な噂が出かねん。となると軍事面か。だがラインハル
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