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銀河英雄伝説〜其処に有る危機編
第十一話 預言者現る!
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官学校校長というポストが悪かった」
少佐が溜息を吐いている。今日は溜息ばかりだ。

「では今は理解しているのですね?」
「多分な」
「多分ですか」
「そうとしか言いようがない」
少佐がまた溜息を吐いた。気持ちは分かる。警護対象者に危機感が無ければ危うい。守る方にも当然だが負担がかかる。今日の騒動はそれが原因だ。

「情報部で問題になっている事が有ります」
「……レポートか?」
問い掛けると少佐が頷いた。
「憲兵隊では問題になっていませんか?」
「当然だが問題になっている」
少佐が頷いた。

「こちらではレポートが提出されたのは三回と把握しています。そのうち一回目はイゼルローン要塞に関するレポート、次は捕虜交換に関するレポート、三回目は不明です。この三つのレポートの内、捕虜交換に関するレポートは公開されましたが残り二つに関しては公開されていません」
少佐がジッとこちらを見ている。なるほど、本題はこちらか。ヘルドリング中将は大分気にしているらしい。

「おかしな話だな」
「はい、おかしな話です」
三件目のレポートが非公開というのは納得出来る。だがイゼルローン要塞に関するレポートは公開しても問題は無い筈だ。だが帝国軍三長官はそれを拒み秘匿している。憲兵隊内部でもその事には疑念が出ている。

「如何思う?」
「捕虜交換に関するレポートを公開した事を考えれば……」
「考えれば?」
「一回目のレポートには公開出来ない部分、つまり帝国が秘密にしなければならない事が書かれているのだと思います」
「同感だな」
少佐がまたジッと俺を見た。ここからが本番だな。

「御聞きになられましたか?」
「聞いたんだが顔を顰められた」
少佐が眉を上げた。
「……触れられたくないと?」
「それも有るのだろうがレポートを出す事自体不本意らしい」
“不本意?”と少佐が呟いた。小首を傾げている。

「誰も喜ばないと言っていた。出すのを止めたいとも」
少佐が考え込んでいる。
「如何いう事でしょう……」
「……昔の事だがな、第五次イゼルローン要塞防衛戦の後、統帥本部で大きな騒動が起きた。少佐は知っているかな?」
困惑している。

「噂程度には知っています。小官が統帥本部に配属される前の事でした。ヴァレンシュタイン中将が関係しているとも言われていますが厳しい箝口令が布かれていて誰も口にはしません。知っている人間が誰なのか、統帥本部に居るのかも不明です。元帥閣下は御存じでしょうが……、大佐は御存知なのですか?」
「知っている」
少佐が無表情にこちらを見ている。何故それを明かすのか、そう思っている。

「第五次イゼルローン要塞防衛戦は味方殺しで決着が着いた」
「はい」
「イゼルローン要塞司令官クライスト大将、駐留
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