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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第23話 振り絞る想いの果て
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が……?」

「それを含めて色々と話しておくべきことはあるけど、ひとまずさっさと逃げるよ。話はその後で」

 ただ、これまでのすべてが分からなかったとしても、今この瞬間に事態が好転したことだけは紛うことなき事実。ミストに言われるがままに、フローラはその場からの逃走を始めたのだった。






* * * * * * *






「それが、あそこにたどり着くまでの話」

「そっか。何もなかったならよかった」

 ほとんどの傷が癒え、今はフローラの案内と護衛をするために走るセレシアは、その顔に安堵の表情を浮かべた。自分が不甲斐ないばかりに、という気持ちにはならなかった。

「でも、どうやって見つけたの? 一切行き先知らなかったのに……」

「スプラヴィーンくん、毎朝私が起きる前に、手元に置いてあるカチューシャに尾行魔法をかけてくれてたんだって。いつどのタイミングでさらわれても、すぐに助け出せるように、って」

「同じ魔法も、使う人が変わるだけでこんなにイメージが変わるとは」

 先ほどエアードのネタ明かしの際に尾行魔法が出て来た時にはセレシアにとっては悪いイメージ一色だったものが、この話を聞いただけでいいイメージにすべて塗り替わった。恐ろしいほどの手のひら返しだと、自分でも思ってしまう。

 少しだけそのことに苦笑いしながらも、聞きたかった一部始終について満足する答えを得たセレシア。その興味と話題を別のまだ満ち足りていないものに変えた。

「で、結局告白の答えは聞けたの?」

「ううん、まだ。でも、きっとダメだと思う」

「なんで?」

 フローラが断言するように言った諦めの言葉に、セレシアは首を傾げた。聞けていないのにも関わらず、もう諦めモードであることを姉である彼女が気にかからないはずがない。

「ご飯の時、言ってたでしょ。2人は双子だから、きっとこっちの事情を考えちゃうんじゃないかな」

「それってあたしたちもだけど」

「私たちのことを知ってるのは2人だけ。でも、2人のことを知ってるのは私たちだけじゃない」

「あ、そっか……。そうだよね」

 セレシアもフローラの考えに行き着き、その結末に顔をゆがめる。時に優しさの方が残酷な結果を生む、ということは知っているが、それでもこうこぼさずにはいられない。

「そんな優しさなら、いらないのにね……」

 エースとミストが普段から見せる優しさは、いつもならありがたく受け取れるような心温まるもの。

 だが、気遣う優しさが時に刃になるように、この優しさだけは、心に風を浴びせて冷やしていく。

 そしてその冷たさを助長するように、2人の横から強風が吹き抜けて来た。

「やっと、見つけたぞ……」
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