峰城大付属第一位
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いてねェ……!
表情筋をフル稼働することで青筋が浮かぶのを抑え、雪菜は頬をヒクつかせる。
今にもその怒りが爆発してしまいそうだ。
彼女自身気付いていないがこういう形で鈴科を屋上へと連れ出し、歌を聴かせるのは今回で2桁を越えている。
鈴科からしてみれば彼女の屋上での姿はとても見慣れた光景であり、気の無い返事を返してしまうのは仕方の無いことであった。
当人である鈴科は真剣な表情で彼女を凝視している。
正確には彼女ではなく彼女の髪の毛を
「……」
「あの、百合子君……?」
鈴科の突然の変わり様に思わず狼狽える雪菜
うぅぅ、百合子君、こっちを凝視してる、何だか恥ずかしいよぉ
「……」
今世紀最大の真剣さを醸し出している鈴科の内心は……
こいつのツインテールと髪の色を見てると何か沸き上がってくるモンがあんだよなァ
「……」
「うぅ……」
なんか電波的なモノを感じざるを得ないよなァ、おい
「……」
この気持ちに名を付けるなら、加虐心ってヤツかァ?
「雪菜さん、俺の一生で一度のお願いだァ」
「一体何かな、百合子君……?」
落ち着きなく髪を触り、頬を染めながら雪菜が鈴科を見据える。
「今から言うことをよく聞いてくれェ」
鈴科の顔はいつになく真剣だ。
雪菜が知る限りここまで熱意に溢れ、真面目な顔をした彼は見たことが無い。
「先ず、右肩を前に突き出し、斜めに構えて、胸の前に」
「こ、こう……?」
「イイ感じだぜェ」
やはり彼女には才能がある。
「左手は右腕の腕章の上に添え」
「こうだよね……?」
「おお、そんな感じだァ」
不慣れさはあれど、イイ感じでポージングを決めている。
「イイ感じだぜェ、雪菜さん」
「えへへ、そう?」
ポージングも完璧だ。
鈴科のイメージ像と眼前の小木曽雪菜の姿が重なる。
「いいねいいねェ最ッッ高だねェェェェェェェェェ!!!!」
校舎に鈴科の狂気じみた声が鳴り響く。
「最後になんだけど、今は腕章は無ェから演技になっちまうが、声高らかに、キメ顔で『風紀委員ですの!』って言ってくんねェ?」
「あ、うん。別に良いけど……」
それに一体何の意味が……?
「じゃ、じゃあ言うよ……?」
「おお、こっちも準備万端だぜェ」
鈴科は隠す様に例の機材を用意する。
準備は万全だ。
「風紀委員ですの!」
放課後の屋上に小木曽雪菜、一世一代の演技が炸裂した。
羞恥に苦しむ雪菜の耳にカメラのシャッター音と録画停止ボタンの音が聞こえた。
「あはぎゃはっ!画像と映像のバックアップ完了ォ!着メロと待ち受け
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