83話:義眼陥落
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頃から父親代わりをされたのだ。我ら3人に差をつけるような事はされたくないそうだ」
「既に多大な配慮を頂いているはずですが、あの方には限度と言うものが無いのでしょうか?お返しする前に御恩が貯まる一方ですが......。ただ私だけが受けないとなると、逆にお気にされるでしょう。光栄な事ですし私の場合はマールバッハ伯爵家との兼ね合いもありますから......」
母方の血縁であるマールバッハ伯爵家は完全に没落しつつある。ロイエンタール家の資産と、俺のリューデリッツ伯との縁を活用しようと画策していたが、そちらも伯が対応して下さった。不義の子を養育しただけでも義理は十分に果たしたと思うが、追い込まれた連中からすると『起死回生の一手』に見えるらしい。伯のお手を煩わす度に、マールバッハ伯爵家への印象は悪化の一途だった。
「それにしても我らが姫も、やっと思いを口にできたようだな。オーベルシュタイン卿にとっては望外だったやもしれんが、人生最大の戦果かもしれんな」
「むしろフリーダ嬢に見る目があったと言うべきではないでしょうか?そういう意味では見た目やら宝石やらに夢中の空っぽ令嬢とはふた味は違うと示されたわけです。リューデリッツ伯の一人娘としては上出来でしょう」
リューデリッツ伯の一人娘の結婚相手という立場は、帝国で門閥貴族を含めて行列が出来るほど望むものがいるだろう。縁談の話もかなり舞い込んでいたらしいが、伯は全てお断りになられていた。俺の中ではオーベルシュタイン卿かシェーンコップ卿が候補だと思っていたが、有名無実化されているとは言え、劣悪遺伝子排除法の事がある。先天的に義眼を必要とする生まれがマイナスに働くのでは......。とも思ったが、伯はそのようなことは気にされなかったようだ。
「おれは卿とオーベルシュタイン卿が候補者だと思っていたが、目の事があったからな。卿が最有力だと思っていたが......。あの時のお言葉は本心から言われたものだったのだろうな」
そう言うと、シェーンコップ卿が初めてオーベルシュタイン卿と晩餐を共にした際の話を聞かせてくれた。幼いなりに俺も自分の生まれを呪っていた時期もある。伯は自分の言質を通された形になる。オーベルシュタイン卿もさぞかし嬉しかったに違いない。
「私は卿とオーベルシュタイン卿が候補だと思っておりました。そういう意味ではお互い自分が候補ではないと思っていたあたり、自己評価はあながち間違っていないようです」
「それもそうだろう。男性が多かったあの屋敷で、何かとあぶれる事が多かった『お姫様』をいつも気にかけていた。俺たちが『したい事』をしている中で、『すべき事』をしていたのがあの男だからな。表情が乏しいから分かりにくいが優しい男だ。一人娘を安心して任せられるだろう......」
お互
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