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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
83話:義眼陥落
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ついての呪いに感謝する事は出来なかったが、この呪いが無ければリューデリッツ伯にもフリーダ様にもここまで良くして頂けなかっただろう。いつか、この御恩をお返しできるように励む事にしよう。もっとも伯は、『そんなに思いつめる必要はない』とでもおっしゃりそうではあるが......。


宇宙歴792年 帝国歴483年 6月上旬
アムリッツァ星域 前線総司令部 歓楽街
オスカー・フォン・ロイエンタール

「すまんな、ロイエンタール卿。卿も忙しいだろうに......」

「いえ。たまにはシェーンコップ卿とこういう場に来るもの悪くはないかと。伯からは色々な司令部を経験したうえで、参謀か戦闘艦の司令が志望を決めるようにとのことでした。まだしばらくは異動が続きそうですから」

イゼルローン回廊の向こう側でシュタイエルマルク艦隊の参謀として哨戒任務に参加し、前線総司令部に帰還して補給の手配が終わった頃合いでシェーンコップ卿から久しぶりに一献傾けようと声をかけられた。彼はこの基地司令部の防衛責任者だ。俺が『基地司令付き』だった頃は何かと一緒になる機会があったが、異動して以来、ご無沙汰になっていた。俺にとって兄のような存在だし、同席して気持ちの良い男だ。異存は無かった。

「一先ず、卿の無事な帰還に」

少し高めのワインをグラスに注ぎ、乾杯をする。このバーは俺が帰還した際に必ず顔をだす場所だ。良いプロシュートを出すし、ワインもそれなりに揃っている。前線から戻ったと節目を作る場でもあった。

「それで、艦隊司令部に異動してみて、どんな様子だ?俺はどうも地に足がついている方が性に合う気がしてな。卿とミッターマイヤーに正式艦隊司令を目指すことを押し付けてしまったような気がしていたのだが......」

「私自身は楽しくやらせて頂いています、最も来期にはルントシュテット艦隊の司令部に異動になります。『色々な司令部を経験して自分なりの司令部を作る時の材料にするように』というご配慮でしょうし、ありがたく思っています。ミッターマイヤーは入れ替わりでシュタイエルマルク艦隊に異動になるでしょう。すこし下の者に甘い所があるので、その辺は先に一言伝えておくつもりです」

『そうか、なら安心だ』とほほ笑むと、シェーンコップ卿はグラスを傾けた。おれも一杯目を飲み干し、グラスにワインを注ぐ。酒の席での立ち居振る舞いは『大奥様』から仕込まれた仲だ。同席すればお互いの機微はなんとなくわかる。テーブルに並んだチーズを一口摘まんだ所で頼んでいたプロシュートが2皿、それぞれの手元に置かれる。

「今回声をかけたのは、伯から内々に卿の説得を頼まれたからだ。伯としては俺と卿にも男爵株を用意したいらしい。シェーンコップ家はともかくロイエンタール家はそれなりの資産があるからな。幼少の
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