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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
83話:義眼陥落
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シェーンコップ卿かロイエンタール卿だと思うのですが、色恋沙汰にはあまり長じていないので、確信を持てる候補がおりません。伯からはフリーダ様から直接聞くようにとのことでしたが......」

「やはりお分かりにならないのね。思っていた通りですわ。お父様が一人娘を嫁に出してまで繋がりを持ちたいと思うのは、将来アルブレヒト兄様が伯爵家を継いだ際に、その右腕が務まる方......。つまりRC社の番頭役が務まる方ですわ。そして音楽では超一流になるかもしれませんが、そのほかの部分はボロボロのフレデリックの手綱をそれなりに握れる方です」

そこで一度、お茶を口に含まれる。私もお茶を口に含んだ。

「私が思いを寄せた方は、男性が多いこの屋敷で、いつも私を気づかってくれました。他の方々が『自分のしたい事』を優先されている中で、『自分がすべき事』を常に意識されていました。近くで観ていなければわからない優しさをお持ちの方です。そして、私のつたない料理を、美味しそうにいつも食べてくれました。
パウル兄さま、私が思いを寄せているのは、貴方です。私はしわくちゃになるまで心を込めて料理を作るわ。パウル兄さまはしわくちゃのお爺さんになるまで美味しそうに食べて頂きたいの。私の『婚約担当』として、要望をかなえて頂きたいのです」

「しかしながら私は先天的に義眼を必要とする生まれでした。劣悪遺伝子排除法は有名無実化されているとはいえ、伯爵家の唯一のご令嬢の嫁入り先としてふさわしいとは思えません。それに貴族にとって血を繋ぐことは至上命題です。自分の子供が、私と同じように義眼を必要とするような生まれになると思うと、正直、怖いのです。本心を申しますが、オーベルシュタイン家は私で途絶えさせるつもりでした」

「それなら大丈夫です。劣悪遺伝子排除法は既に廃法になる方向で動いておりますし、お父様も婚約の祝儀代わりに陛下にお願いすると申しておりました。子供の事も、パウル兄さまがどうしてもとおっしゃるなら養子縁組をすれば良いだけです。それに、劣悪遺伝子排除法が廃法になれば遺伝子治療の分野も発展するでしょう?実際、宇宙放射線に曝される船員が多いフェザーンでは、そう言った治療も行われています。パウル兄さま、私の要望をかなえて下さい。この要望をかなえられるのは、宇宙に貴方だけなのですから......」

リューデリッツ伯には、生まれついての呪いを解いて頂いた。さらにそのご令嬢に当たり前の家庭を持つ幸せを頂くなど、本当に良いのだろうか?

「私は共に人生を歩む相手として、パウル兄さまを選びました。事情は分かっているのです。年下の淑女に、これ以上恥をかかせないで。こういう時は黙って抱きしめて下さい」

気づいた時は。フリーダ様を抱きしめていた。義眼でなければ涙を流していたに違いない。生まれ
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