83話:義眼陥落
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「私自身は結婚を考えた事がございませんので回答に困りますが、フリーダ様がお幸せになられるなら、それが一番なのではないでしょうか?もちろん私の方で動く必要があるのならお力添えさせて頂きます」
フリーダ様が心を寄せるとなると、身近な男性だろう。年を考えればミューゼル卿はさすがに若い。キルヒアイス少尉も同様だろう。となると、シェーンコップ卿かロイエンタール卿というあたりか。歓楽街の魔王と魔眼などとささやかれていると聞くが、そろそろ実を固めても良い年齢だ。説得は容易ではないが、幼いころからよく知っている仲だ。何とかできるだろう。
「うむ。まあ、相手のあることだからな。フリーダの婚約担当を卿に頼みたい。一人娘が胸に秘めた想いだし、なんとかかなえてやりたいのだ。もし費えがかかるようならこちらで手配するので、フリーダの要望がすべて適うように手配してもらいたい」
「承知しました。それで、お相手はどなたなのでしょうか?候補はいるものの、お恥ずかしながら確信が得られないものですから」
「うむ。それなのだが、フリーダにとっては卿は家族も同然であろう?自分の口から伝えたいとのことでな。サロンに控えているから顔を出してやってくれ」
こういうお話なら執務室ではなく、遊戯室でご同席されても良いはずだが余程言いにくいお相手なのだろうか?ご指示通り執務室を退室してサロンへ向かう。退室する前に『良いな?婚約担当でフリーダの要望が適うように手配を頼むぞ』と伯に念押しされた。どんな大事でも念押しなどされたことは無い。少し違和感を覚えたが、フリーダ様をお待たせするわけにもいかない。サロンに歩みを進めるとフリーダ様がお茶を嗜まれていたが、人払いがされていた。
「パウル兄さま。お待ちしておりましたわ。お茶の用意が整っておりますわ。こちらへ」
フリーダ様にうながされ席に付く。このお屋敷に出入りしていれば自然に紅茶に詳しくなる。そして少しずつだが、皆さまのお好みが違う事もある程度すると分かる。この香りはフリーダ様の好みに合わせたものだし、私の好みでもある入れ方をしたものだ。
「美味しいお茶をありがとうございます。このお屋敷では皆さま茶道楽ですが、私の好みに一番合うのはフリーダ様のお茶です。特に香りがよいですね」
「ありがとうございます。パウル兄さまにそう言って頂けると嬉しいです。それで、お父様とはどのようなお話をされたのですか?」
いつもは温和なフリーダ様から何やら鬼気迫るものと言うか決意のような物を感じる。特に隠す話でもない。
「はい。お相手は伺っておりませんが、私がフリーダ様の『婚約担当』になる事と、『フリーダ様のご要望は適える様に』と承りました。思いを寄せられておられるとのことでしたが、どなたなのでしょうか?私が説得役になるとすれば、
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