370部分:第二十四話 私の誠意その八
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第二十四話 私の誠意その八
建国当初から各領主達の寄り合い所帯であり三十年戦争で死亡通知を渡された国だったが国名としては残っていたのだ。しかしその継承者としてなのだ。
「だが。再びだ」
「はい、ドイツは皇帝を戴きます」
「フランス皇帝に取って代わるな」
王は既に読んでいた。ドイツの勝利、そしてフランスの敗戦とフランス皇帝であるナポレオン三世の退位を。全て読んでいたのだ。
読みながらだ。さらになのだった。
「王の上に立つ皇帝だ」
「ドイツはその下に統一されるのです」
「いいことなのだろう」
ここでは。言葉の最後を疑問符としたのだった。
「だが。それは」
「陛下は」
「私は王だ」
そのだ。王だというのだ。
「王は」
「しかしそれもです」
「そうなのだ。それもまた」
王の言葉が曇った。そうなった。
「わかっているのだ」
「では。そのプロイセンとのつながりを進められる首相とこれから」
「会おう」
こう言ってであった。王は玉座の間に向かった。
そしてそのホーエンローエと会う。まずは王から彼に声をかけた。
「よくぞ来られました」
「有り難きお言葉」
儀礼的な挨拶から話をはじめる。まずは政治の話だった。
首相はだ。王にこう話すのだった。
「一つ厄介なことになっております」
「厄介なこととは」
「新聞です」
この時代新聞の力が日増しに増してきていた。それはバイエルンも同じだ。プロイセンは締め付けが厳しかったがバイエルンはそれに比べて穏やかだったのだ。
その為バイエルンでは記者達はかなり色々なことを自由に書いていた。その中には下品なものもあったがそれでもマスコミの力は強くなっていた。
そのマスコミについてだ。首相は話すのである。
「彼等のことですが」
「新聞ですか」
「陛下も御存知だと思います」
王に顔を向けて問う言葉だった。
「新聞のことは」
「はい、そのことは」
王はワーグナーが新聞にどう書かれていたのかを思い出してだ。そのうえで辛い顔になってそのうえで苦い声で話をした。
「よく」
「そうですね。そしてそれはです」
「今もですか」
「さらに酷くなっています」
首相は焦っているかの如き口調になっていた。
その口調でだ。王にさらに話していく。
「誹謗中傷で満ちています」
「そうですね。確かにそれは」
「それでなのですが」
「それで?」
「彼等を取り締まるべきです」
これが本題だった。首相の言いたいことだった。
「このままではさらに酷いこととなります」
「新聞の規制ですか」
「はい、陛下はどう思われますか」
「別にいいでしょう」
王はだ。新聞についてこう言うだけだった。
「そのことは」
「宜しいのですか」
「はい
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