第一章
[2]次話
無駄な努力をしてみた
この時芳川修二は仕事帰りの日課であるネットサーフィンをしている最中の思わぬ事態に困っていた、彼が使っているパソコンの前で座る椅子が急に傾きだしたのだ。それで何かと思って椅子を調べると椅子の座っている部分を支える部分の金属の部分が長年彼が座っている時貧乏ゆすりの癖のせいで壊れていたのだ。そのせいで椅子が傾いてきたのだ。
このままでは座れなくなる、こう思ってだった。彼は何とかしようと思ってだ。
とりあえず輪ゴムを持って来ようと思った、それで夕食の跡片付けをしている彼の妻であり美香に対して言った。小柄な妻はジャージにセーターという部屋義で食器を洗っていた。彼はその妻に対して言った。
「糸ある?」
「糸?」
「そう、刺繍に使う糸じゃなくて料理の時に使う」
「ああ、チャーシューとかを縛るね」
「あの糸ある?」
「あるけれど何に使うのよ」
「いや、実は椅子が壊れて傾いて」
それでとだ、修二は美香に事情を話した。
「とりあえず応急処置で」
「椅子を糸で縛ってなの」
「そうして安定させたいんだよ」
「そんなことよりネットで注文したら?」
そちらの通販で椅子を買えばとだ、妻は夫にアドバイスをした。
「今日はそれでパソコン止めて寝て」
「いや、それじゃあ金がかかるだろ」
金はけちりたい、それが修二の本音だった。
「だからな」
「それでなの」
「ああ、ここは糸で縛って安定させるよ」
「上手くいくかしら」
それよりも新しい椅子を買うべきだとだ、妻は言うが夫は聞き入れなかった。それで妻から糸を狩りてだった。
椅子を縛った、そうして安定させたと思って椅子に座ってみたが椅子は傾いた。それで彼はまた妻のところに行って今度は。
「輪ゴムある?」
「ひょっとして輪ゴムで?」
「大きくて幅の広い輪ゴムで何重にも固定して」
「それで座ろうっていうの」
「これでどうかな」
「無理だと思うわよ」
眉を顰めさせてだ、美香は修二に答えた。食器を洗い終わって拭いている最中だ。
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