第六章
第68話 緑の楽園
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白い空間が解けると、そこには見たこともないような景色が広がっていた。
見渡す限りの青空。
たっぷりと降り注ぐ日差し。
それを余すことなく受け取るように広がる、緑の草原。
向こうには丘があり、その少し前には小さな木。
そして中央には、虹色の橋が空に向かって伸びていた。
……なんて素晴らしいところなんだろう。
けれども、誰もいないみたいだ。
誰もいないと、この景色も少し、さびしく感じる。
最後に、もう一度会いたかった。
結局、神社で「またあとでな」と言ったきりだ。
でも……いいかな。
これでクロは家族のもとに戻ることができる。
二人とも帰れないよりは、ずっといい。
ん?
向こうにある小さな木の後ろで、何かが動いた。
それは、木の前に出てきて止まった。
白い……犬……。
「クロ……」
名前をポツリとつぶやく。
クロの尻尾がピンと反応した。
そして全速力でこちらに向かってきた。
「クロ! 会いたか――うわっ」
クロは大きくジャンプして飛び付いてきた。
そのまま押し倒され、俺は草の上であおむけになった。
「危ないじゃないか……って、わっ、コラ、くすぐったいって」
上に乗られたまま、顔をペロペロと勢いよく舐められた。
「コラコラ、いつまで舐めてるんだ。やめなさい」
そう言うと、舐めるのをやめ、今度は抱き付くように頬をくっつけてきた。
尻尾が高く振られている。
ちょうど目の前に来たクロの頭を、撫でた。
「神さまが気を遣って会わせてくれたのかな?」
クロは「ワンワン」と答えた。
そうか。もう言葉はしゃべれないんだ。
でも、それでもいい。
一人の神と、一匹の神の、粋な計らいに感謝した。
「わはは、だから顔は舐めるなっての……ははは、なんかお前、急に懐っこくなったな」
また舐めてきたので、いったん諦めてクロの自由にさせた。
日差しは強いが、暖かい。
おだやかなそよ風が気持ちいい。
そして、俺の上にはクロがいる。
舐められたり、頬をこすり付けられたり、好き放題されながら……
いつまでも、この緑の楽園にいたいと思った。
でも、行かないとな。
そうしないと、クロが家族に会うのが遅くなってしまうから。
「じゃあ、ずっとこのままいたいけど、そろそろ行こう」
名残惜しそうなクロを立たせ、頭を手のひらでポンと叩いた。
「むこうの橋まで行こう」
近くに行くと、空へと昇るその虹色の橋は、階段状になっていた。
「一緒に登ろうか」
ゆっくり一段ずつ、一緒に登っていった。
そ
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