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緑の楽園
第六章
第67話 再面談
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前じゃない予定だったんだよ」

 崩落しつつある俺の頭でも、事情は理解できた。
 俺があの時代に呼ばれたのは、クロの意志。なんの能力も持たない俺が召喚されたのは、そういう理由によるものだったのだ。
 だが――。

「俺、クロとは召喚後に仲良くなりましたが、それまでは関係もほとんどなくて、あまり……好かれてないんじゃないかと思ってました」

 もともと捨て犬だった仔犬のクロを拾ったのは、いちおう俺だ。
 犬がどれだけ昔のことを覚えているのかは知らないが、もしかしたら、まだそのときのことを覚えていたりしたのだろうか。
 そう思いながら目の前の神の顔を見ていたが、その呆れ顔がさらに強まってきている気がした。

「あいつかわいそうだな。一方通行だったわけだ」
「……?」
「お前さ。崖から落ちる前、あいつと初めて散歩したんだろ?」
「はい、そうですね」
「あいつがそれをどんなに嬉しく思っていたのかはわかってたのか?」
「……いえ」
「あーあ、本当に気の毒だな。こんな飼い主にあたっちまうとはな」

「あんな適当な散歩でも、嬉しかったんですか」
「そうだよ。検査したときのあいつの意識はこうだ。『まだ散歩が途中だった。初めて機会をもらえたので、もっと続けたかった。こんな形で終わるのは心残りだ。もう少し一緒にいたかった』――そんな感じだったかな」

 ……。

 クロがそんな仕草を一度でも見せていただろうか。
 もう遠くなっているあのときの記憶を、再生する。

 ……。
 あ。

 確か、二回。吠えられてリードを引っ張られた気はする。
 一回目は、崖崩れの少し前。散歩を早く切り上げることを決めたとき。
 二回目は、崖崩れの本当に直前。

 俺はどちらも、崖の崩壊の予兆に気づいたクロのサインかと思っていた。
 だが、今思うと一回目のほうはタイミングが早すぎる。
 最初の吠えは、もう少し散歩をしたいというメッセージだったのだろうか?

 もしそうだとしたら……。
 全然、気づいていなかった。

「俺。あの散歩、予定より早めに切り上げようとしていました」
「で、吠えられたんじゃねえの?」
「そうですね……」

 クロはあまり自分から何かを要求するということがない。
 そういう性格だ。
 そんなクロがアピールしてくるということは、クロなりに初散歩に舞い上がっていたのだ。

 ああ……。

 俺は、なんで。
 なんで、こんなにバカなんだろう。

 あそこで気づいていれば。
 あそこで選択を誤らなければ。
 クロがすべてを失うこともなかったのに――。

「おれとしてはがっかりだな。まあでも、人間はこんなもんか。ちょっとくらいは労ってやろうと思っていたんだが、なんかその気も
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