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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第22話 追い風と向かい風
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スプリンコートで間違いない。唯一無二の大事な妹を、見間違えるはずがない。
「大丈夫!?」
フローラのこの問いの答えは、その姿を見れば一目瞭然だ。傷を負い、血を流し、土にまみれているその姿は、普段では絶対に見ることのない、異常さを際立たせるものだ。
だが、せめてもの気遣いを、と、セレシアは笑顔で答えた。
「うん、大丈夫」
「……すぐに治療してあげるね」
「あんまり使うと大変だから、最低限でお願い」
離れていた時間はわずかでも、その僅かの間に開こうとしていた距離の分だけ、姉妹は再会の喜びをかみしめる。それはミストも同じであり、その場にいる者は1人を除き、喜びが心の中にあった。
その除かれた1人──エアード・ヴィラノローグだけは、その光景をいつの間にかつけていた仮面の下から、おそらく驚きの色に染まった表情で見ていた。
「お前、どうやって……」
「忘れたのかい? 僕は風属性魔法の使い手だよ。その中に、探知魔法もあるんだよね。それを使わせてもらったってわけ」
「いや、もう一人いたはずだろう……?」
「ああ、いたね。ちょっと地面に口づけしてもらったよ。まぁ僕は風属性しか使えないから魔法のレベルとしてはすぐに回復出来るものでしかないし、時間はあまり稼げないだろうけども、それだけあれば十分助け出せる」
相手の質問に次々と答え、飄々としているミストのその姿は、まさに余裕を体現したものだろう。
そのミストは一旦エアードから視線を外し、セレシアを治療中のフローラに向けられる。
「スプリンコートさん、来る途中に言ったことは覚えてる?」
「うん、覚えてる」
「なら、その通りに頼むよ」
「分かった」
ミストとフローラの間で繰り広げられるやりとりの内容は、もちろん2人にしか分からない。
しかし、それが状況を打開するために必要なことなのだろうと、セレシアは何となく予想していた。
「セレシア、私に家までの道を教えてくれる?」
「うん」
それ故に、フローラの頼みに二つ返事をした。大好きな妹を完全に救い出すためにやらなくてはならないことを拒むことなど、あるはずがない。
その結果としてその場から離れるため、今まで戦っていた相手に背を向ける形になる。当然そのような隙を自ら作り出せば、狙われないはずがない。詠唱なしで放たれた風魔法が、2人に向けて一直線に飛んでいく。
だが、エアードの相手はもうすでにセレシアではない。
直撃する手前で横から相殺するような風が放たれ、合わさった2つの風は綺麗に消滅する。その向こう側で、自分の新たな役割を果たそうと、セレシアとフローラはこの場から離れていったのだった。
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