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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第22話 追い風と向かい風
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アード。一発とは言わず何発でも殴れそうな距離だったが、体が言うことを聞かないのだからどうにもならない。
「がはっ……!?」
そんな成す術なしのセレシアを痛めつけるかのように、エアードは思い切り踏みつけ始めた。
「あう……んぐぅ……」
体に走る衝撃が傷へと走り、痛みを強めていく。加えて時おりねじ込むような動きをするためにこらえきれず、声となって漏れだし始める。そんなセレシアの様子が見られてたまらないのか、エアードの顔には狂ったような笑みが貼りついていた。
「おっと、そうだ。この距離でなら、剣も狙いを外せませんねぇ……」
踏みつけながらのその発言の傍らには、月光に煌めく無慈悲な刃があった。
この距離では、言葉通りその切っ先を避けることは叶わない。急所を外せても時間が伸びるだけだろう。このような形での余命宣告は、受け入れる他なかった。セレシアに出来るのは、ただひたすらに涙を溜めることだけだった。
「では、さようなら」
もう二度と、妹の姿を見ることは叶わない。無念を抱きながら、セレシアは迫りくる切っ先から目を逸らした。
だが、その後に感じるはずの鋭い痛みと温かな感触は、永遠に訪れることはなかった。
「『ヴィント・ディレクションアロー』!!」
魔法の詠唱が聞こえた次の瞬間には、エアードのうめき声と共に、セレシアの周囲を風が揺らした。
「間に合った!」
今自分とその周りはどうなっているのかを確認するべく恐る恐る目を開けると、そこにはミストの姿があった。それを見たセレシアは身体を起こし、自分の目に溜めていた涙を拭った。
「遅い。死ぬかと思った」
満身創痍の身でありながらも、セレシアは声だけは元気さを忘れずに出す。
セレシアの方を振り向いたミストは、それを見て少し悲しそうにしていたが、すぐにいつもの表情に戻った。
「色々としていたら遅れたんだけど……まぁ、これで許してよ。僕だって、何もしなかったわけじゃないんだから」
その口から発せられた、代名詞だらけの言葉。聞いた直後は、セレシアにとっては意味が分からない。
すると、セレシアの向きでいう右の方から、足音が聞こえてくる。荒い息遣いも聞こえてくるのは、その相手が走ってこちらに向かっているからだろう。
「セレシア!!」
その数秒後には、同じ方向から聞き覚えのある声が聞こえてきた。同時に、ミストの代名詞だらけの言葉の意味も、きちんと理解した。
それは、もう聞けないかもしれないと諦めかけたもの。自分に向けて駆け寄ってくる姿に、死にかけの身ながら笑みがこぼれる。
チャームポイントのカチューシャについたリボンをたなびかせるその姿は、自分の妹──フローラ・
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