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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第22話 追い風と向かい風
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を絶望させてしまう前にその考えに白いペンキをぶちまける。

「でも、あたしをこうやって攻撃してることがバレたら、フローラはあなたには振り向かないよ」

「どうせあなたは死にかけ。このことはせいぜい墓場にしか持っていけないでしょう。彼女の元にたどり着けても、誰もそこからは抜け出せませんよ」

 今こうして会話していることが時間稼ぎであることは、多分相手も分かっている。それでも、セレシアに残された道は時間稼ぎしか残っていない。それほどまでに成す術がない。

「なら、その墓場に行く前に1つだけ。フローラが狙いのはずなのに、色々とこうしてるの、聞かせてよ」

「そんなもの、あの双子はどちらも逃走の妨げになり得るからに他なりません。まぁ、兄の方はそれ以上に個人的な恨みがありましたがね。それはまた別問題です」

 ここまでのことをして引きずり出したのだから、十分な対策はすでに行っている、ということだろう。偏見かもしれないが、執着心が起こした行動とは思えない相手の用意周到さに対して、セレシアは心の中で嘆くしかなかった。

 ただ、1つだけ、セレシアには自分が狙われる理由だけは分からなかった。それを時間稼ぎのネタにしようと、彼女は再び口を開こうとする。

 しかし、エアードの発言がそれを遮った。

「ついでに1つ訂正しておきましょう。彼女を狙ったことは僕の目的と関係はあれど、目的そのものではありません」

「え?」

 そう言われても、セレシアには全く理解できなかった。誘拐しておきながら目的そのものではないということ。金目当てではないことは分かっているが、それでも理解には至らない。

 そんな、戸惑いを見せるセレシアに対して、エアードから衝撃的なセリフが放たれた。

「あなたの方がむしろ狙い目です。あなたを殺し、唯一無二の美しさに纏わりつくゴミクズを消すことが目的。つまりあなたの今の行動はまさに飛んで火にいる夏の虫です」

 この言葉を聞いた直後、セレシアは強烈な震えに襲われ、背筋を流れる冷や汗が止まらなくなった。

 本当に狙われているのは自分。だからこそ、フローラを一時的に隔離する必要があったということ。すべてを理解するための最後のピースは、あまりにもどす黒い現実であった。

「さて、もうそろそろ命乞いはよろしいですかね? こちらとしては、時間稼ぎされるのは気に食わないのですが」

 そして迎えた、タイムリミット。せめてミストが来るまでは持ちこたえようと思ったのだが、どうやらそれも叶わないようだ。当たり前と言えばそうではあるが、このままやられっぱなしで役目を終えるくらいなら少しくらい報いてやりたいところ。

 これから、あとどれだけの時間を持ちこたえることが出来るか。

 それに関してはもうほと
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