暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
82話:帰国
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それはそれで寂しい気もしますね」

「まあ、ジーク。嬉しい事を言ってくれるのね。まずはお茶とケーキを楽しみましょう。やっと帰ってきたんだもの。話を聞かせてくださいね」

席について、早速ケーキを口に運ぶ。だんだん強まっていた『帰ってきた』と言う思いが、最高潮に達した気がした。自然にラインハルト様と目線が合い、うなずきあった。私たちは帰ってきたのだ。

「姉上のケーキを口に含んだとき、帰ってきたのだと実感しました。別に前線総司令部が辛いわけではないのですが、研鑽の日々を過ごしたこの屋敷が近づいてくるにつれて安堵する気持ちが強くなりました。もうこの屋敷が私の故郷なのかもしれませんね。姉上、ただいま戻りました」

ラインハルト様も久しぶりに穏やかな表情をされている。私も不思議と安堵していた。前線総司令部基地司令官付きは、決して楽な役職ではなかった。後方支援がメインだが、准尉とは言えある程度決済権をもって任務にあたる事が普通だった。伯の名代として高級将校へのメッセンジャー役もこなしたし、現場で不具合がないか?積極的に情報収集する事も求められた。もっと効率を上げるにはどうすればよいかを考えさせられ続けたし、他部署の士官たちからは常に『リューデリッツ伯が見込んだ人材』として見られる為、気が抜けなかった。人間関係の構築も、シェーンコップ卿が色々と教えてくれたが、知っているのと、出来るのとはかなりの違いがある。私はともかくラインハルト様は苦戦されておられたようだ。そして、伯の配慮の凄味も感じる日々だった。任される任務で分からないという事が一切なかった。英才教育で教え込まれたことが活きる任務ばかりだったし、求められる成果も明確で、与えられる情報も明確だった。ラインハルト様は少し物足りなそうな雰囲気をされることもあったが、『理不尽な状況』から『乗り越えられる状況』に戻った事も影響しているのだろう。

「前線総司令部基地司令付きを拝命したのですが、あの基地の大きさは帝都にも匹敵するほどです。それに6個艦隊が出入りしますから、基地司令の職務は、大都市の責任者のような物です。そのサポートをする役職ですから、艦隊が出入りすれば補給の手配を、何か問題が起きれば決裁権をもって対処する事もあります。時には憲兵隊や、現地の捜査機関と連携を取る事もありますし、基地自体の建設構想も特殊なので、より効率を上げられないか、改善策を考える事も求められます」

「おそらくあの基地で一番広範囲の部署と関わる役職と言えましょう。伯の名代として艦隊司令官の方々とも関わりますし、多くの方々にお力添えを頂いています。任官した当初は基地の広さに迷ってしまわないか心配になるほどでございました。」

「それに、私たちで提案した改善策が採用されたのです。効果も既に出ておりますので、些細な功績です
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