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永遠の謎
364部分:第二十四話 私の誠意その二

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第二十四話 私の誠意その二

 大公が最初にジョッキを持ってだ。客人達に話す。
「では。陛下の幸せを心より願って」
「はい、それでは」
「飲みましょう」
 こう話してである。彼等はそのビールを楽しく飲むのだった。
 大公だけでなくバイエルン全体で王を祝福し飲まれている。しかしだ。
 その中で渦中の王はだ。憂いに満ちた顔で宮廷にいてだ。
 友人でもあるホルンシュタインにだ。こう言うのだった。
「間も無くか」
「はい、喜ばしいことですね」
「そうだな」
 晴れやかな顔のホルンシュタインと対象的にだ。憂いに満ちた顔で言うのだった。
「間も無くだ」
「まさか」
 王のその表情に気付いてだ。ホルンシュタインはすぐに述べてきた。
「御成婚が近いので」
「それでだというのか」
「はい、気持ちが沈んでおられますね」
 そうなっているのではないかというのだ。
「そうですね」
「そうだな。今はな」
「誰でもそうです」
 微笑んでだ。王に話す彼だった。
「結婚が近付くとそうなります」
「そうなのか」
「だからです。何、御気に召されることはありません」
 身振りも踏まえてだ。王にさらに話す。
「そうした場合はです」
「どうすればいいというのだ?」
「飲まれることです」
 ホルンシュタインが薦めたのは酒だった。
「それが一番です」
「酒か」
「はい、丁度いいワインがあります」
「ワインか」
「如何でしょうか。今からそれを差し上げますか」
「プロイセンからのワインか」
 王はふとだ。ホルンシュタインに返した。
「それか」
「おや、プロイセンだというのですか」
「違うのか」
 こう彼に問うのである。
「あの国のワインではないのか」
「ははは、ドイツのワインはやはり西に限ります」
「西。モーゼルか」
「どうでしょうか。モーゼルは」
「そうだな。貰おうか」
 話を聞いてだ。王は憂いの顔のままホルンシュタインに答えた。
「それをな」
「それでは」
「プロイセンのワインでなければ」
 実は王は他のことも考えていたのだった。あの国の酒でなければというのだ。
「シャンパンか」
「フランスですか」
「ビスマルク卿はシャンパンがお好きだ」
 彼のその嗜好は既にだ。王は知っていたのだ。そのうえでの言葉だった。
「それではないのか」
「ははは、あの酒もいいですね」
「しかし今はないか」
「はい、モーゼルです」
 それだとだ。ホルンシュタインは両手を軽く動かしながら述べた。軽やかに手首をスナップを効かして振ってだ。そのうえで話しているのだ。
「白です」
「ではそれを貰おうか」
「チーズもありますよ」
 肴はそれだというのだ。

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