暁 〜小説投稿サイト〜
緑の楽園
第六章
第64話 総裁
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に遮られ、うかがうことは不可能だ。

 さらなる攻撃のため、兵士やカイル、タケルが突進していく。
 俺とクロも飛びこんでいった。

 総裁の右手が動いた。
 ――なぜだ? 撃たれたはずなのに。
 その右手は、一番接近していたであろう兵士に向けられた。

 銃声。
 盾を貫通したかどうかはわからないが、兵士が呻いて倒れた。

 続いて左手が動く。
 今度は、銃声とは違う爆発のような轟音。
 銃口から、激しい炎が放射状に出た。

「うっ」
「うあっ」

 なんだこの武器は……。

 一瞬にして兵士三名が火に包まれながら後ろに飛ばされ、床に転がった。
 盾で直撃を免れたようにも見えたが、どこまで防げているか。

 その火は、俺のところまでは届いていなかった。
 俺の一撃は入る。狙いはおそらく狂わない。

 総裁の胸部めがけて一突き。
 入った。

 ガキっという金属音。
 深く入った手ごたえはまったくなかった。

 しまった。中に鎧を着込んでいたか――。

 そう思ったときには、もう総裁の右手がこちらに向けられていた。
 すかさず横からクロによる総裁への体当たり。銃口がブレる。
 銃声はしたが、こちらには当たらなかった。
 もう一度剣で攻撃を――。

 しかし総裁のほうが速かった。
 左手が動く。
 その大きな口径の武器。不気味な円形の闇がこちらに向けられた。

「がはっ」

 轟音と同時に、強い衝撃と熱風。後ろに飛ばされる。

 痛みとともに、体が床でバウンドするのを感じた。
 そしてクロも振り払われたのか、床を転がる金属音が聞こえてくる。
 俺は起き上がろうとしたが、体が動かなかった。

 体中が熱い。体中が痛い。
 手足が言うことを聞かない。
 盾はきちんと機能したのか?

 さらに銃声と、総裁のもう一つの武器の轟音が続いた。
 そして悲鳴。これは兵士とタケル……そしてカイルのものか?

 ――まずい。
 俺はここで寝転がっている場合ではない。起きろ。動け。

 何秒経過したかはわからないが、手足の感覚が脳に再接続された。
 四つん這いになり、起き上がる。

 ――しまった。剣が。

 俺の剣は、総裁の足元近くに転がっていた。

「リク! これを使え! わたしが時間を稼ぐ」

 ただ一人立っていた神が、大剣を放り投げた。
 それは大きな音とともに、俺のすぐ足元まで来た。

 すぐに拾い上げる。
 重い。重かった。片手ではとても振れない重さだ。
 迷わなかった。
 盾を捨て、大剣を両手で持った。

 神が盾をかざしながら突進するのが見えた。
 それに対し、総裁が左右の銃を同時に向けていた。

 その
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ