第六章
第64話 総裁
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に遮られ、うかがうことは不可能だ。
さらなる攻撃のため、兵士やカイル、タケルが突進していく。
俺とクロも飛びこんでいった。
総裁の右手が動いた。
――なぜだ? 撃たれたはずなのに。
その右手は、一番接近していたであろう兵士に向けられた。
銃声。
盾を貫通したかどうかはわからないが、兵士が呻いて倒れた。
続いて左手が動く。
今度は、銃声とは違う爆発のような轟音。
銃口から、激しい炎が放射状に出た。
「うっ」
「うあっ」
なんだこの武器は……。
一瞬にして兵士三名が火に包まれながら後ろに飛ばされ、床に転がった。
盾で直撃を免れたようにも見えたが、どこまで防げているか。
その火は、俺のところまでは届いていなかった。
俺の一撃は入る。狙いはおそらく狂わない。
総裁の胸部めがけて一突き。
入った。
ガキっという金属音。
深く入った手ごたえはまったくなかった。
しまった。中に鎧を着込んでいたか――。
そう思ったときには、もう総裁の右手がこちらに向けられていた。
すかさず横からクロによる総裁への体当たり。銃口がブレる。
銃声はしたが、こちらには当たらなかった。
もう一度剣で攻撃を――。
しかし総裁のほうが速かった。
左手が動く。
その大きな口径の武器。不気味な円形の闇がこちらに向けられた。
「がはっ」
轟音と同時に、強い衝撃と熱風。後ろに飛ばされる。
痛みとともに、体が床でバウンドするのを感じた。
そしてクロも振り払われたのか、床を転がる金属音が聞こえてくる。
俺は起き上がろうとしたが、体が動かなかった。
体中が熱い。体中が痛い。
手足が言うことを聞かない。
盾はきちんと機能したのか?
さらに銃声と、総裁のもう一つの武器の轟音が続いた。
そして悲鳴。これは兵士とタケル……そしてカイルのものか?
――まずい。
俺はここで寝転がっている場合ではない。起きろ。動け。
何秒経過したかはわからないが、手足の感覚が脳に再接続された。
四つん這いになり、起き上がる。
――しまった。剣が。
俺の剣は、総裁の足元近くに転がっていた。
「リク! これを使え! わたしが時間を稼ぐ」
ただ一人立っていた神が、大剣を放り投げた。
それは大きな音とともに、俺のすぐ足元まで来た。
すぐに拾い上げる。
重い。重かった。片手ではとても振れない重さだ。
迷わなかった。
盾を捨て、大剣を両手で持った。
神が盾をかざしながら突進するのが見えた。
それに対し、総裁が左右の銃を同時に向けていた。
その
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