暁 〜小説投稿サイト〜
Unoffici@l Glory
1st season
9th night
[2/4]

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 バックミラーでランプがチラつく。結局制御出来ずにスピンした模様。ヒットしたかは定かではないが、バトル続行は不可能。この時点で2台が脱落となった。

「せめて後ろがいないことを願うしかないか。さて、ここからが本番ってね……」



 同時刻、大黒PAを出発したグレーラビットが駆るNSX−Rが横浜環状線を流す。

「……嘘だろ……なんだってんだ、コイツは……」
「まだそれほど踏み込んでもないのにわかりますか。流石です」

 初めて乗るマシンということもあり、巡航速度程度しか踏み込んでいないのに、グレーラビットはどこか得体のしれない存在感を感じ続けていた。

「なあ、一体コイツは何なんだ?」
「まぁ、種明かしはまだまだ。この車の限界は、こんなもんじゃありません」

 周囲の一般車の2倍近い速度というのに、スーツの男の表情は涼しいまま。

「さぁ、もっと踏み込んでください。あなたが普段戦っているスピードレンジまで」
「……冗談じゃねぇ……」

 不気味な存在感を垂れ流しながら、NSX−Rは加速していく。普段彼がZ32で獲物を探す巡航速度に至るまで、さほど時間はかからなかった。



 2台の怪物は、その身を余すこと無く振るいながら大黒JCTを通過。ループ区間に入る。 先行するマスタングは後輪を微妙に滑らせながら、最小限のロスでインコーナーを駆けていく。ちょっとした路面の荒れや継ぎ目などをものともせず、どっしりとしたバランスでクリアしていく。一方R35は四輪を路面に張り付かせ機を伺っていく。常にアウト側から虎視眈々とマスタングの隙を待ち続ける。

「へぇ……思ってたより結構やるじゃないか。見直したよ」
「フン……このペースに着いてこれるとはな」

 二台の大型マシンのバトルは、あまりにも静かと言えた。マスタングがコーナーを丁寧にクリアし、R35が危なげ無い走りで追走する。ストレートに出れば待ってましたとばかりにV8が咆哮を上げ弾かれたようにマスタングを加速。同じように加速し過給タービンの嬌音を響かせながらR35も猛追。お互いにレベルが高いドライバー同士、ブレや勝負に直結する隙が殆ど無い。この2台はまるでランデブー走行会のようにも見えるだろう。

「なかなか隙を見せないな……そろそろ決めたいが」
「何で離れねぇんだ?日本のマシンのクセに……」

 横浜環状も終盤、R35が勝負に出る。敢えて今まで抑えていた速度で急コーナーに侵入。イン-アウトのラインを取ったマスタングにアウト後方から襲いかかり、間髪入れず回転数を上げてタイヤのグリップを分散させる。そのままR35は斜めに流れ出し四輪ドリフト。脱出角をピタリと定めるのと同時にタイヤはグリップを取り戻し、アテーサEーTSの性能を遺憾無く発揮し加速する。
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