暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
「わたしは皆さんがいるこの世界が好きです」
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けたとばかりにニヤニヤと笑うアスナから、まだ自分が仕出かしたことが分かっていないキリトへの恨みがこもった呟きを込めながら、アルゴは逃げるように離れていく。そのままぬいぐるみはキリトからエギルに渡り、異様に似合わないその組み合わせに多少ながらメンバーに笑いがもれている間に、プレミアはショウキとリズの近くに歩いてきていた。

「どうした?」

「ここに引っ越してきてから、皆さんによくしてもらいました。それでわかったことがあります」

 うらやましげに騒ぐ仲間たちを眺めながら、プレミアはとつとつと語りだした。その間に回り回って犬のぬいぐるみがプレミアに返ってきて、もう一度だけ大事そうに抱きついた。

「わたしは皆さんがいるこの世界が好きです。大好きです」

「……そうか、よかった」

「うんうん、嬉しいこと言ってくれるじゃない!」

 こうして再び仲間たちとともに集まるようにして、プレミアが他のメンバーとうまくやれるか心配ではなかった、というとショウキもリズも嘘になる。ただし幸いなことにその心配は杞憂に終わったらしく、感極まったリズはぬいぐるみごとプレミアに抱きついていて。

「……ショウキは抱きついてこないんですか?」

「遠慮しておく」

 何かを期待するようなプレミアの視線から逃げると、次はプレミアの髪をクシャクシャと撫で回すリズと目があった。すると今まで楽しそうにしていたリズの目が、どこか悲壮感を込めた後ろめたいものとなっていた――それはショウキも同様だ。

 そもそも今日ショウキとリズがこの《ALO》にログインしたのは、これから少しすれば、二人とも現実の用事で仮想世界に来れなくなるとプレミアに伝えるためだったからだ。ずいぶんと嬉しそうなプレミアにそんなことを言うのも気が引けるが、むしろ自分たちがいなくとも今日で他のみんなと仲良くなれたのだから大丈夫だと、ショウキは心を決めて。

「なあプレミア。ちょっと大事な話があるんだ」

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