「わたしは皆さんがいるこの世界が好きです」
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れば、それは珍しくもないNPCにしか読めないアイテムではないということで。何かの手がかりになるかと、アルゴはその秘伝書のタイトルを聞けば。
「『これであなたもすぐ飛べる! 三時間で学ぶ浮遊術最強プログラム』です」
「……そうカ」
まるで手がかりになりそうにないタイトルだった。
「……という冒険を繰り広げてきました」
「俺は過保護じゃない」
「そこは別にどうでもいいわ」
プレミアたちがしてきた冒険の話を本人から聞いて、やはりショウキが反応したのは過保護疑惑の訂正だったが、案の定リズにばっさりと切り捨てられた。何にせよプレミアは苦戦しながらも浮遊しており、冒険の成果は多分に活かされているらしい。
「それで今、リーファに飛び方を教えてもらっているところです」
「……大丈夫か?」
「……そういうところだよ、ショウキくん」
「ぐ……」
「じゃあ、しののんにユイちゃんと……アルゴさんは?」
確かに空を飛ぶことに関してはリーファが最も優れているだろうが、浮遊城からシルフ領に飛び降りるような趣味の、あのスピードホリックに任せて大丈夫なのかと。ショウキは疑惑の目を向けたものの、それが過保護なのだと言われればどうしようもなく撃沈し。
「店の中にいます」
「え? アルゴもいるわけ?」
「うん、さっきまでエギルさんと話してたよ……アスナさん、頑張ってね」
「……ありがと。それじゃ、ちょっと私も挨拶してくるね」
とはいえそんなことよりも、先程まで噂していた《鼠》が店にいると聞きいて。リーファから小さく応援の言葉を送られて、アスナは翼を展開し一足先にリズベット武具店へと飛翔していく。
「ショウキ。わたしはもう少しリーファと飛んでみるので、先に帰っていてください」
「あ、ああ。どんな感じだ?」
「今のところ、特に問題はありません。ですが一つ、とても深刻な問題があります」
「あるのかないのかどっちよ」
リズの疑問も最もな話で。短い時間ながらもショウキが見る限り、浮遊について特に問題はないようにうかがえる。それはリーファ師匠も同感だったようで、ふわふわ浮かぶプレミアを眺めつつ不思議そうな表情を晒していた。
「わたしも飛べるようになってしまったため、どこかに行く時ショウキに抱っこしてもらえません」
「……問題か?」
「重要な問題です」
重要な問題ではなかったらしい。そうショウキは結論づけて、二方向から感じる冷たい視線も気のせいだと切り捨てた。いつだか、他にクエストに行ってくれる人がいないなどと悩んでいた時は、二つ返事で自分が行くなどとショウキは言ったものだが。今回ばかりはそういう訳にもいかないというか、いつでも抱っこし
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