「わたしは皆さんがいるこの世界が好きです」
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ます。だから、ありがとうです」
もう二度と『こわい』を味わうことがないように。鍛え直しというやつです――と、気合いを込めるプレミアの様子が何かおかしかったのか、一同から少し笑みが溢れた。
「……知らないうちに、プレミアは強くなったんだナ」
「いえ、これからです」
「最初よりは強くなったってことですよ!」
「それなら……うれしいです」
最初の人形だった頃ではなく、『プレミア』という確固たる存在となったことで。知らず知らずのうちに少女は成長していたのだと。そうユイに指摘され、プレミアは無意識にはにかんだ。
「……要するに、今まで過保護すぎたってこと?」
「一緒にいたのショウキくんだもんね、ぜっったい過保護だよー」
「『かほご』とはなんですか?」
過保護だった覚えはない――などと、当のショウキ本人が聞いたら言いそうなことだが、その答弁が受け入れられることはないだろう。実際はそこまで過保護でもなく、ただ心配性なだけなのだが。
「すごく甘やかされていることを言います」
「……なるほど、『かほご』はもうやめです」
「じゃあご飯もなしだナ」
「…………!?」
強くなるためには過保護では困ります、と決意を新たに拳を握りこむプレミアだったものの。続くアルゴの言葉による衝撃は、先程の魔術師の一撃を遥かに上回るものだった。信じられないとばかりに口をパクパクと開閉し、身体を震わせてつい先程の決意を無下にしようか葛藤する。
「それは……困ります……! 過保護でいいです……!」
「……そんなことより、ほら」
そうして熟慮の結果、もはや強くなる決意などなかったかのように、一瞬で過保護へと戻る英断を下したプレミアに、シノンから本が渡される。先の《浮遊の魔術師》からドロップした、今回の件のそもそもの原因である秘伝書だった。
「これでプレミアちゃんも飛べるようになるの?」
「……今ちょっと読んでみたけど、私には読めなかった」
「ありがとうございます」
「わたしにも見せてください!」
「……どうダ?」
女神の書物とも呼ぶべきものだからか、秘伝書の中身はプレイヤーたちには読めないものとなっているらしく、シノンは不服そうに呟いて。興味深そうに読みふけるプレミアとユイの背後から、アルゴも覗きこんでみたものの、やはり幾何学的な模様としか思えなかった。
「はい。読めます」
「わたしは読めません……」
「え? ユイちゃんも読めないの?」
「……なあプレミア。その本、なんてタイトルなんダ?」
そして食い入るように本を見つめるプレミアと違って、ユイもプレイヤーたちと同様に首を捻っていた。プレミアが読めてユイが読めないものともな
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