「わたしは皆さんがいるこの世界が好きです」
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同程度の身長まで浮遊したプレミアとハイタッチするとともに、再びプレミアは自ら逆さ釣りに戻っていた。先程の慌てたバックステップはしばらく笑い者だな――などと思いながら、ショウキは髪を掻いていれば、じろじろとプレミアの視線を感じて。
「ショウキ。いつもと格好が違います」
「あ、それエルフクエストのレア装備じゃない?」
「ん、ああ、キズメルから貰ったんだ……変かな?」
「いいえ。わたしも欲しくなります」
そういえば前々からの装備からエルフの騎士団装備に変わっていたと、ショウキは装備のマントをつまんでみせると。羨ましげにそれを見ているプレミアの装備といえば、会ったときから変わらぬワンピース姿であり、そのまま宙吊りに浮遊しているものだから、ずっと手で抑えていて。
「とりあえずズボンにしないとな……」
「なに言ってんのよ、せっかくだからもっとオシャレして……」
「そ、それで、プレミアちゃんはなんで浮いてるの?」
そのままプレミアの服に話がもつれこみそうになったものの、スカート装備のアスナがどこか居心地の悪そうに本題に入った。プレミアはどうして浮かんでいるのだろうかと、最初から誰もが気になっていたが聞きそびれていたことを、よくぞ聞いてくれましたとばかりにプレミアは胸を張って。
「色々あったんです。聞いてくれますか?」
ヨツンヘイム、《浮遊の魔術師》が潜むダンジョンにて。物陰に潜んでいたプレミアはようやく震えが収まり、みんなが見守るなかでどうにか立ち上がった。
「プレミア、大丈夫か?」
「はい。ボスは」
「もう倒したから安心して」
「悪かっタ!」
とはいえ《浮遊の魔術師》はプレミアが立ち上がる前に倒されてしまったらしく、すでにシノンが目的の魔術書を持っていた。今回も役に立てなかったと、プレミアが落ち込んでいると、逆にアルゴが頭を下げていた。
「どうしてアルゴが謝るのですか? 悪いのはわたしです」
「いや……プレミアがボス戦なんてやったことないのに目を離したコッチが悪いんダ。怖がらせて本当にすまないと思ってル……」
「それは……そうだよね……」
「それは違います」
ボス戦だというのに、不慣れなプレミアから目を離してしまったこと。それは連れてきた自分が悪いのだというアルゴにリーファも同調するが、プレミアはしっかりとした意思でそれを否定する。確かに初めて感じるほどの『こわい』に身動きできないほどになってしまったのは確かだが、アルゴの言い分は間違っていると。
「おかげで『こわい』は『嫌なこと』だと気づけました。わたしは今まで、そんなことも知らなかったのです」
「プレミア……」
「もう『こわい』にならないように、わたしは強くなり
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