「わたしは皆さんがいるこの世界が好きです」
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「あのクエスト、なんだったろうね……」
フォールン・エルフとの邂逅を終えたショウキたちは、いまいち釈然としなくもなかったが、もう夕方になってプレミアも帰ってきているだろうと、リズベット武具店へ歩いていた。キズメルは呪いに関してのフォールンの関与をエルフたちに報告するとのことで、俗っぽいことを言ってしまえば、クエスト進行にはまだ時間がかかりそうで。
フォールン・エルフといい、彼らが拠点としていた聖堂といい、聖堂に刻まれていた二人のプレミアといい、成長したプレミアのような白髪のNPCといい。せっかくクエストに出かけたというのに、《剥伐のカイサラ》にいいようにやられたのも含め、ただ謎が深まるばかりでフラストレーションがたまるばかりで。
「あとでアルゴにでも聞いてみるか」
「アルゴさん……か」
アインクラッド第二十二層、リズベット武具店までの帰り道。最初にショウキとアルゴが会ったときには、アルゴの存在をアスナに話さないことが条件だったが、エルフクエスト絡みで直接会ってしまった以上は時効だろうと。かの鼠の名前を出すと、気にしていたかのようにアスナがうつむいた。
「アスナ……」
「……ううん。あんまり会いたくない気持ちも分かるの。私たちが組んでた時は辛いことも多かったし……でも……辛いことばっかりじゃなかったとも思うんだけどな……」
「…………」
「あ……ご、ごめんね! なんか湿っぽくしちゃって!」
最も犠牲の出た攻略初期のことを知らないショウキとリズには、アスナの呟きに何か返してやることも出来ず。そんな雰囲気を感じとったのか、アスナは無理やりにでも笑顔を作ってみせて。そんな気にすることじゃないと、ショウキも何か言ってやろうとすると――
「ショウキ。アスナを『泣かせた』のですか?」
「いやそうじゃな――!?」
――突如として、この場にいないプレミアの言葉が響いていた。反射的に言葉が聞こえてきた方へショウキが振り向くと、目と鼻の先にプレミアの顔が逆さに置いてあり、唇と唇が触れてしまう――前に、ショウキはもはや無意識に後方へステップを踏んだ。
「……。ごきげんよう、ショウキ」
「いや、え、は?」
「何やってんのあんた!?」
落ち着いて見てみれば、ショウキの近くの空間にプレミアがスカートを抑えながら宙吊りにされていた。しかしてロープのようなものは見えず、まるで自由自在に空中を浮遊しているかのようで、その証拠のようにゆっくりと天地を戻しながら着地する。
「サプライズ成功ー!」
「サプライズ成功、です」
「ええと……うん」
目を白黒させたままのショウキたちをよそに、バレないように遠くから見ていたらしいリーファが飛んできてかと思えば。リーファと
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