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永遠の謎
362部分:第二十三話 ドイツのマイスターその十七
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「その町に築けば」
「反発を受けますね」
「その町に築くのもどうか」
 己が嫌われていること、それはどうしてかまでは考えていないがそれでもだ。ワーグナーは自分がミュンヘンの市民に嫌われていることを承知していた。
 だからこそだとだ。彼は言うのだった。
「そう思う」
「そうですね。それでは」
「バイエルンの町を見て回る」
「旅も兼ねられますね」
「旅はいい」
 ワーグナーは旅行好きでもある。犬や贅沢の他にも趣味はあるのだ。
「心を入れ替えさせてくれる」
「浮世のことを忘れさせ」
「それも兼ねて行こう」
 己の趣味のことも考えての言葉だった。
「それではな」
「では私も」
 当然の様にだ。コジマも言ってきた。
「御供させて頂きます」
「そうしてくれるか」
「私は常にマイスターの御傍にいます」
 完全にだ。崇拝者の言葉だった。
「ですから」
「そうだな。では共に行こう」
「はい、是非共」
 こうしてだった。ワーグナーは己の劇場のことも頭の中に入れて動くのだった。だがこのことが、そして様々なことがだ。王と彼にとって。一つの運命の出来事になってしまうのだった。


第二十三話   完


                2011・6・16

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