361部分:第二十三話 ドイツのマイスターその十六
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エルンになくてはならない」
それは何故か。彼を庇護する王の国だからだ。
「だが。その築く町はだ」
「ミュンヘンとは限らないのですか」
「ミュンヘンは好きではない」
顔を曇らせての言葉だった。
「いや、好きではなくなった」
「なくなったのですか」
「最初は違った」
複雑なものをだ。表情にも言葉にも帯びさせるワーグナーだった。
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