第六章
第63話 突入(3)
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のような太さのコンクリート柱が、等間隔で林立している。
そして見上げると、地下とは思えないほどに高い勾配天井。
照明器具は確認できないが、ところどころ採光窓のような小さな穴がある。薄明るい光の筋が、床に向かって斜めに差していた。
床、壁、柱と、すべて打ちっぱなしのコンクリート。
色彩に乏しいながらも荘厳さの漂う、異様な雰囲気だった。
この空間の先、中央前方には、また重厚そうな大きな金属の扉が見える。
距離は五十メートルくらいだろうか。
「ここが地下宮殿です。ここまで総裁の姿を見ませんでしたので、この先の扉の向こうにいるのだと思います」
一同は盾を構え、俺とタケルを先頭に警戒しながら進む。
が、半分も進まないうちにクロが声をかけてきた。
「リク。扉の近く……気を付けろ。また火薬の臭いだ」
――またか。
林立する柱のどれかに隠れているのだろうか。
今度は水がない。近づきすぎるのは危険だ。
「そこにいるのはわかっています! 姿を見せてください」
声はエコーがかかって、広い空間に響いた。
「ほほう、よくわかったな」
奥の扉の左右の柱から二人の人間が現れ、扉の前に立ちはだかった。
どちらも細身で初老の男。一見手ぶらに見える。
こちらは三十六人と一匹なのに、慌てふためく様子もない。
タケルが「右はヨナイ、総裁の一番の側近。左はオザキ、こちらも上層部の一人です」とささやいてくる。
そのタケルの声が聞こえたのだろうか。右側の男が、彼のほうに視線を移した。
「そこにいるのは、確かヤハラの部下だったか。生きていたのか」
「はい。死んだというのは偽情報です」
「なるほど。ここまで亜人どもの侵入を許したのは、お前の手引きによるものか」
「……」
沈黙したタケルに代わり、俺が二人に話しかける。
「あの。俺はオオモリ・リクと言いますが。わかりますか」
「ほう、お前がそうなのか。ヤハラより聞いている。我々の祖先にあたる古代人と聞いたが、間違いはないか」
「はい。間違いないです」
「ではなぜその連中に与した? 古代人であるならば、真の人間である我々につくべきだったはずだ」
「申し訳ないですが、そう思わなかったのでヤハラの誘いは断りました」
「愚かな……」
残念だが、この人間に言っても無駄だのだろう。そう思った。
やはり総裁に会わせてもらうしかない。
「総裁に会わせてください。降伏するよう説得するために、ここまで来ました」
「断る。いかに古代人といえども、亜人に与する者を総裁に会わせるわけにはいかない」
「……」
「あの、僕からもお願いします。まだ間に合います。総裁に会わせてください」
「笑止。裏切者のお前は、
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