暁 〜小説投稿サイト〜
緑の楽園
第六章
第63話 突入(3)
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てないように消火栓の扉を開けた。
 ノズルが付いたホースが、ぐるぐるに巻かれていた。
 俺はホースを伸ばし、ノズルを手に取る。
 タケルが後ろで消火栓ボックスのバルブを開ける。ホースが生き物のようにうねった。
 これで、あとはノズルをひねれば水が出る仕組みらしい。

 クロのおかげで、「こちらは火薬に気づいているが、相手はこちらが気づいていることに気づいていない」という状況が発生している。
 今度は、自爆を未然に防ぐ。

「じゃあ中に入って放水します」

 昔から一度やってみたかったことではあるが、この状況では当然楽しむことなどできない。
 ノズルを持ったまま突入した。

 相手の反応などを確認する余裕はない。ひたすら二人に水を命中させ、濡らす。
 二人が何か叫んでいたような気もするが、よく聞き取れなかった。
 そしてすぐにノズルを四方八方に向け、部屋中を濡らしていく。

 後ろを向いて手で合図をした。すぐに他のメンバーが中に入ってくる。
 一同、手際がよい。特に細かく指示していないのに、きれいにグループに分かれた。二人を取り押さえること、縛る紐を探すこと、何か危険な仕掛けがないか室内のチェックをすること、それらを手分けして同時におこなっていく。

 一瞬にして、やるべきことが片付いた。
 兵士たちに「この先も自爆攻撃を仕掛けられる可能性があるので、誰かを見つけてもすぐに接近しないように」という指示を出し、先に進んだ。



 その後、議場、法廷と、総裁の姿を求めて慎重にチェックしていった。
 しかし人間の姿はない。
 やはり一番奥にあるという総裁の宮殿にいるのだろうか。

「ん? なんだ? この部屋は」

 ひとつ、奇妙な部屋があった。
 俺の時代の一般家庭のリビング程度の部屋に、箱型の大きな機械が立ち並んでいる。
 ボタン類に説明書きはなく、なんの機械なのかは不明だ。大小さまざまなアームが付いているものもあり、不気味な雰囲気も漂っていた。

「僕もこのあたりのことは……。なんとなくですが、修理施設のようにも感じますけど」
「なんでここにあるんだろうな」
「うーん、わかりませんね。ひょっとしたら、大昔の頃の名残で、今は使われていないのかもしれません」

 カイルや兵士たちも、興味津々という雰囲気で機械を見ていたが、特に何か潜んでいるわけでもなかった。
 先を急ぐことにした。



 機械のある部屋を出て、通路の突き当りの、装飾された大きな金属の扉を開けた。

「ここは……」

 景色がガラリと変わった。
 そこには、薄い灰色の世界が広がっていた。
 学校の体育館くらいはありそうな幅の、おそらくかなり広いであろう空間。

 中央部分を除くと、樹齢千年の杉
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