暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
81話:恋愛模様
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悪遺伝子排除法は有名無実化しているから気にしなくて良い』と伝えるように言われているわ。何やら事情があって廃法にする事も検討されているらしいしね」

どうやら、自分の思いが周囲に伝わっているとは思っていなかったらしい。フリーダの驚いた顔を見るのは久しぶりだ。思わず笑ってしまった。

「お母様もお父様もひどいですわ。私が決心を固めるのにどれだけ悩んだのがお分かりになるでしょうに......」

「本来なら、貴族の結婚は政略結婚が原則だもの。いくら政略的に意味がある結婚だと分かっていても、恋愛結婚を許可するような事は、私たちにはできない話だわ。でも大丈夫なのかしら?オーベルシュタイン卿は確かに優秀だし、お優しいけど、生まれついて目が悪かったことにコンプレックスをお感じのはずよ?婚約する事は彼にとっては大きな決断になると思うけど......」

「それは心配していません。パウル兄さまの優しさを理解できる未婚の淑女は私だけですし、子供の事はきちんと相談します。私の料理を一番喜んでくださるし、おばあちゃんになるまで心を込めて料理を作るから、おじいちゃんになるまで美味しそうに食べて欲しいとお願いするわ。今までも私のお願いを断ったことは無いし、お父様から口添えして頂ければ大丈夫だと思います」

父親なら娘ののろけなど好んで聞くものではないだろうが、母娘ならむしろ微笑ましい。オーベルシュタイン卿は表情に乏しい所があるけど、思いやりのある方だ。娘を預ける事に不安は無い。

「ひとまず、フリーダの気持ちは分かりました。まずはお父様にお知らせしますから、自分だけの判断で気持ちを伝えるのはしばらく待ってね。何とか良き形にしますが、貴族社会で恋愛結婚など許されないの。ちゃんと政略結婚に見える形式を整える事が必要になるのだから」

娘の気持ちを考えればすぐにでも意中の相手に思いを伝えたいだろうが、どちらかと言えば『仕える家の令嬢』に対しての対応だったようにも思うし、変に話がこじれても困る。早速、夫に知らせを認めて話を進めてくれるようにお願いしなければ......。事業に関わる時とはまたちがった高揚感を感じながら、私は夫への知らせの文案を考え始めていた。
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